2008年2月24日日曜日

年収崩壊(角川出版)

著者名;森永卓郎 出版社;角川出版 出版年;2007年
 今年に入ってさらに増刷。小泉内閣時代から「格差社会」の可能性を予測し、年収300万円時代が到来すると書籍で「予言」実際にはそれ以上の「格差社会になった」という話からこの本が始まる。統計データが実際に今の実態を反映するのはもしかすると数年後ということになるかもしれないが、好景気といわれても実感のないここ数年。ネット難民などといわれる方々も出現してきたが、必ずしもそれはライフスタイルの問題で、経済の問題ではないのではないか…とも実は思っていた(少なくとも定住や安定を拒みたい人も少なからずいるはずだ…)。ただこの本ではさらにつっこんで「自分の居場所がなくなるリスク」と「長生きのリスク」を指摘。今の平均寿命がさらに延びて、人口減少率がさらに増すというのはかなりの可能性で起こりうることだ。さらに2005年の国勢調査をもとに「非婚率」の高さも著者は指摘。男性の多くは「結婚しないではなく結婚できないのだ」と評論。さらには、「結婚で長期的な安定は得られないと悟った女性は、短期的であってもイケメンや金持ちに享楽的な利益を求めるようになった」(34ページ)がしかし「世の男性のほとんどはイケメンでもお金持ちでもありません」(同ページ)と厳しい評論。そのあと年金問題、特にマクロ経済スライド調整の話に移行するわけだが、冒頭の「長生きリスク」がこの年金問題とリンクして、資産運用の話へ…。年収が本当に崩壊するのかどうか。あるいは日本的経営が本当に終わっているのかどうか(定年雇用制も含めて)。まだまだ時間をかけなければ不明な点はある。ただし非婚率の数値は、突然に上昇するものでもなく下落するものでもおそらくない。ばたばたと突然、非婚率が下落するとしたら、それは何かの突然的な現象で、常識的に考えれば10年後、50代、60代の独身家庭が多数社会に生まれてくるということは考えられる。そのときの年金を含めた年収は…というと、やはり社会保障以外の何かを用意しておかないと不安な時代になるのだろう。あまり明るい話は含まれていないが、それでも森永氏の予測がさらにあたる可能性もある以上、やはり新書サイズでさっくり読んで10年後の自分を考えてみるのも悪くはない。

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