2008年2月25日月曜日

マリ=アントワネット2(みすず書房)


著者名;A.カストロ 村上光彦訳 出版社;みすず書房 出版年;1972年
 首飾り事件の後から、1789年の三部会招集、ヴァレンヌ逃亡、マリ=アントワネットの処刑までを描く。ただし文書文献に基づいた構成というだけあって、マリ=アントワネットの死刑宣告にいたるまでのくだりは証拠物件その他の不足なども指摘されるほか、マリ=アントワネットの主張も文献で確認されるかぎり収録されており、やはり死刑というのはこの時代の雰囲気に相当左右された結果ともいえそうだ。ただしこの検事、裁判長、裁判の判事6名のうち3名を除いて後にギロチン。証人のうち14名がギロチン、12名の陪審員のうち動乱後ひっそりと暮らせたものは「3名しかいない」。という歴史の大動乱期を感じさせる結果だ。共和政治を訴える人々の群れは、やはり相当無法状態の混乱の中で「けっこうめちゃめちゃなこと」をやっていたことが文書からもうかがえる。マリ=アントワネットの遺体についても詳細な検討が加えられているのだが相当無残な扱いで、フランス革命とはいっても「実態」がどうだったのか…を考えると素直には喜べない一面も。裁判については特に筆者の「第三者ぶり」の筆が冴え渡る。1972年発行。533ページのノンブルで第2巻終了。源泉資料として巻末に各種事件についての簡略なコメントと文献の所在地が掲載されている。

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