2013年1月29日火曜日

野村「ID」野球と落合「オレ」流野球(KKロングセラーズ)

著者:川崎憲次郎 出版社:KKベストセラーズ 発行年:2012年 本体価格:1300円
 ヤクルトスワローズの元エースで1993年の西武ライオンズとの日本シリーズでは、第4戦と第7戦で先発。2勝してヤクルトの日本一に貢献したのが著者の川崎憲次郎氏。その後中日ドラゴンズに移籍するものの故障によってその後引退。しかし、2013年度からはひさかたぶりにロッテマリーンズでコーチとしてマウンドに復帰する。
 野村監督の独特の野球理論は、それまでの野球指導をくつがえす革命的な方法だったと思う。スピードがなくてもコントロールと配球で勝負し、マスコミでは「野村再生工場」といわれていた。教え子は著者の川崎憲次郎氏のみならず、巨人の戦略コーチの橋上秀樹氏、2000本安打を達成した日本ハムの稲葉、日本ハムのエース武田、ヤクルトスワローズの宮本など多士済々。現役の選手だと野村監督の教え方をどう受け止めたかといった話はしづらい部分もあるだろうが、川崎氏はすでに引退から時間が経過しているということもあり、わりと率直に教えを受け止め、さらに熟成させていったという感が強い。「変化は価値なり」という言葉がつづられているのを読んで、川崎投手がシュートを覚えて「復活」していったプロセスの一端がわかる。
 一部の「天才」には確かに努力も工夫も必要がない。ただ大多数の凡人にとっては、「目標意識の設定方法」や「努力」(を実践すること)だけでも一苦労だ。その一苦労を乗り越えていき、日本シリーズで活躍できた著者だからこその野球書籍である。

 表紙は非常にセンスがよく、文字の組み方も読みやすく作成されているが、やや誤植が目立つのがもったいない。日本語も首をかしげる部分がないでもなく、もう少し編集のほうで丹念に赤字校閲をするべきだったのかな、というのが残念。

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