2013年1月29日火曜日

21世紀のキャリア論(東洋経済新報社)

著者:高橋俊介 出版社:東洋経済新報社 発行年:2012年 本体価格:2500円
 偶然によって決定されていく「キャリア論」。実はこれかなり説得力がある。目的があって目的にむかって直線的に「キャリア」が実現できるというルートは昔もなかったし、想定外の変化が多々発生する現在ではもはやごく少数の天才以外には望むべくもないキャリア論だ。そもそも勤務している会社が十年後に存続できているかどうかも、だれにもわからない時代だし、予測不可能な技術が発達することで産業そのものが衰亡していくケースもある。
 自己効力感というキーワードが印象的だったが、「やりがいのある仕事とは何か」を考える上でも示唆にとむ。これから就職や転職をする人にも、もうストリート・オブ・ノー・リターンな年齢になった人が過去を振り返り反省するにも参考になる内容が多い。自分自身の内面の哲学を固めつつ、社会全体の規範的な内容とのバランスをとるという著者の考え方も現実味がある。
 仕事が楽しいと多少給料が「あれ」でも人間は耐えることができる。しかし、「給料がもらえるからなあ」という損害回避の発想で一日をすごしていると24時間が耐え難いほと長く感じるに違いない。自分自身で自己効力感を高め、充実した仕事観を育成していくためにもヒントになる著述が多い。

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