2013年1月15日火曜日

10分あれば書店に行きなさい(メディアファクトリー)

著者:斎藤孝 出版社:メディアファクトリー 発行年:2012年 本体価格:740円
 中小零細の書店数が軒並み店じまいし、大規模書店も統廃合の動きがみられる昨今、書店に定期的にいく人口も相当に減っていそうだ。この本で中身のある本を3冊読むと半年間の大学の講義に匹敵するという指摘があるが、感覚的には自分もそう思う。まったく知らない分野で最低限の知的レベルを獲得する場合には、それなりの入門書3冊読解である程度ところまで知識や情報を得ることができる。ただし、それ以上のレベルになるにはその2倍の6冊ぐらいが必要になる印象。
 個人的には書店にはわりと足を運ぶほうだが、それでも「10分だけしかないならいかなくてもいいかなあ」と思ってしまう。だが著者は10分だけでも書店にいけという立場。新書や文庫本を見て回るだけでもかなりの知的刺激を受けるというのが論拠で、こういう触発作業もまた大学の先生が今意識しておこなわなければならないことかもしれない。
 モチベーションの維持やスキルの開発などに書籍は必要不可欠だと思うが、ウェブのコンテンツが拡充されていくにつれ、書籍の優位性は確実に(相対的に)低くなってきている。無料のコンテンツに負けない内容の有料書籍をいかに開発して編集していうかは作る側の問題だが、コストと売上高の関係の予測がつきにくい時代には、なかなか高価な本も出版しにくくなってきた。電子書籍でコンテンツを安価に配信してその分売上数量を伸ばしていくというのもひとつの方法だが、そうしたチャネルの開発ができないままウェブのコンテンツが充実してくると電子書籍で書籍を販売していくというのも苦しい時代になるのかもしれない。

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