2013年1月21日月曜日

数学で読み解くあなたの一日(早川書房)

著者:ジェイソン.I.ブラウン 出版社:早川書房 発行年:2010年 本体価格:2000円
 三つ子の魂百まで…というかやはり文系職種であっても数学は10代のうちにある程度はやっておいたほうがよい。微分積分や数列、行列の基礎を固めておくと、ビートルズのコード進行と数学について論じたこういう本も楽しみながら読める。というか心理学や社会学では統計学は必須アイテムだし、経済学ではこの本でも取り扱われている効用関数や生産関数の理解に微分積分を用いる。必要になってから学習するという方法もないではないが、高校レベルの数学を年齢がいってから学習するのはしんどい話だ。とはいえ社会人になってから数学に取り組めばそれはそれなりの「見返り」は当然あると思うが。
 この本は難しい数式なしで等比数列なども図形など「目に見える形」で理解を進めていこうとする。数式がでてくるとしてもせいぜい分数程度で、サイン関数が出現するのは巻末に特集されている音楽と数学の話の箇所。周波スペクトラムの図で「ヘイジュード」を解析してしまうのだからすごい。日常生活でも数学は時に個人的にも無意識に用いていることがないではない。たとえばそれは風力とスピードとのベクトルといった「イメージ」や、「政府が投資援助」というニュースで思い浮かべる等比数列の数式の「イメージ」。難しく数式をとらえるよりもイメージをより「精緻化」していくのに数学や図形が役に立つという考え方もできる。エレキギターの演奏家でもある大学教授の力の抜けた数学エッセイだが、あなどりがたい面白さ。

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