2012年11月20日火曜日

もうダマされないための経済学講義(光文社)

著者:若田部昌澄 出版社:光文社 発行年:2012年 本体価格:820円
 う~ん…内容はピカ一に面白い。が、タイトルがあまりにも「昭和」過ぎる…。ミクロ経済学(最近は主流派経済学としてミクロとマクロを総称するみたいだが)を知らない読者でもインセンティブの話から市場の効用、通貨政策や中央銀行の役割まで学習できる。トレードオフとインセンティブの関係などもイメージを構築しながら読めるので、グラフや数式に依存せずに感覚的に読み進められるように配慮してあるところが心憎い。ただなあ。やはり内容がある程度「硬い」とタイトルを柔らかくしなければならないという理由はあるにせよ、消費者教育の本とかではないので、もう少しタイトルに工夫があっても…。
 一時期、「タイトルに数字が入っていると売れる」という「神話」がはやっていたのだが、そして実際に売れている新書やビジネス書籍に数字が記載されているケースはあっただのが、これ、因果関係がどうにも怪しい。たまたま売れるような内容の本に数字を冠したタイトルが多かった…という理屈も成り立つ。同じように「柔らかいタイトルでないと読者が購入しませんから」という編集サイドの理屈が先にたって、せっかく21世紀仕様の好著であっても、ダサダサの「昭和枯れすすき」的タイトルをつけられてしまうということは、十分ありうるのかも…。ま、最近はタイトルや装丁に文句をいう著者は減少しているし、内容に自信があれば編集サイドや営業サイドの言い分については大人の対応の大学の先生が「主流派」だから、ということもあるかもしれない。
 アダム・スミスやマルクスなど経済史的なコンテンツも含んでいるので、経済学部の学生や経済学部以外の卒業生の社会人には特に面白い内容になるかも。

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