2012年11月23日金曜日

アド・アストラ Ⅲ(講談社)

著者:カガノミハチ 出版社:講談社 発行年:2012年 本体価格:600円
 ポエニ戦争の英雄といえば、やはりカルタゴのハンニバルとローマのスキピオ。ただその影に隠れてはいるが、「フェビアン戦略」や「フェビアン社会主義」といった言葉に名を残すローマの独裁官ファビウスがこの3巻で登場。歴史的にはナポレオンを壊滅させたロシアのクトゥーゾフ将軍やナチス帝国のスターリングラード侵攻など、「持久戦」はとりうる戦略のなかで、それほど悪い一手ではない(消耗戦にもなるが…)
 ローマの南方カプアにまでせまったカルタゴに対していかなる戦略をとるべきなのか、そのローマの「葛藤」と軍事の天才ハンニバルの飄々としたキャラクターが良い。実際のところ、天才とそれを封じ込めようとするローマの武将のかけひきは、これに近い雰囲気ではなかったか。
 いまだハンニバルは負け知らずの時代で、ローマ帝国はスキピオ・アフリカヌスの登場を待つ焦燥の時代が描かれる。

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