2011年4月24日日曜日

歴史は「べき乗則」で動く(早川書房)

著者:マーク・ブキャナン 出版社:早川書房 発行年:2009年 本体価格:840円 評価:☆☆☆☆☆
数学の本がこれだけ面白いとは予想もしていなかった。前兆も周期もない災害がどうして発生するのか。 そして砂山が崩れ落ちる最後の一粒の砂と地震の発生の奇妙な仕組みの一致。それは社会構造にも及び、臨界状態やべき乗などの概念をもとに株式市場やネットワーク市場までも読み解いていく。論理的というよりは感覚的にはおそらく無意識のうちにこういうべき乗法則や臨界状態の存在を人間は認識していたはずだ。ハワード・ホークスの「ピラミッド」という映画で、壁が砂の圧力でするすると落ちていく感覚などにも通じる「最後の一押し」。それがどういう形でやってくるにせよ、なにかしらの臨界状態があって、それがあるとき暴落につながっていくという「感覚」。著者はそれを巧みな比喩と文章で明らかにし、今後のネットワーク社会へのさらなる応用を示唆して終わる。正規分布や統計法則に疑念をお持ちの人には特に納得の一冊だろう。

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こんにちは。
時々、こちらのブログを拝見させていただいております。本のコメントにて、興味がそそられる本もあり、即、購入というわけにはいきませんが、図書館等を利用して読んでみたいと思います。

物事を全て科学・理論で片づけられるのかは
わかりかねますが、歴史が、決まった法則で動いているのならば、未来への予測も、ある程度は可能であるということでしょう・・か。。
確かに、過去の数度にもわたる大量絶滅、気候変動等もそういうことなのでしょう。
現在も、Y染色体の減少、環境破壊、人口増加の行く末が、どのように向かっていくのかは考えないで、日々を送っている方が幸福と思えます。
でも、地球という惑星にとっては、果たして人間は、適合した生物なのか・・なんですが。。

大局的にとらえると、やはり、最終的には、どの分野も哲学めいたものに到達するように
思えます。。

「生物と無生物のあいだ」福岡伸一氏
「生き物たちは3/4が好き。多様な生物界を支配する単純な法則」ジョン・ホィット・フィールド氏
なども、読んでみたいと思っています。
視点が変わるのではないかと思えますが、ハズレだったら、どうしようかと思いますね・・。

ところで、大前研一氏の本は、あまり読まれないのでしょうか?
自分で読みたいのですが、私自身も読む本やらありまして、なかなか読めないので、訊いてみました・・。

gie さんのコメント...

コメントありがとうございます。気ままに書き綴っているのですが、ここ数週間は数学、特に「べき乗分布」に興味深々です。数学ですべてを解明するのは不可能なんでしょうね。ただ一定程度、しかも日常生活を超えるレベル以上株式市場以下ではかなりあたるようです。大前研一さんの本は確かに読んだ記憶がありません。一応、大前さんが翻訳された「ハイ・フライヤー」という本はすでに入手しているのですがなかなか読む気にはなれず…。でも本は「積読」だけでも1年もしくは3年、4年経過してからページを開くことがありますので、やはり気になったときにすぐ衝動買いしておいたほうが後悔が少ないような気がします。昔、古本屋さんで立ち読みしたTBSブリタニカから出版されていた「武器の歴史」。アレ以来、本屋さんでは見かけることなく、ただただ内容が気になっています…。

さんのコメント...

またまた、投稿させていただきました。こちらの本を読みましたが、脳が窒息しかけました。。スタバで一息をついて、再度読みましたが、私が感じたことは、いろいろな分野を勉強したうえで、総合的にとらえる学問と思えました。
マクロ視点で、物事を考えるならば、私たち人間は、地球の中の生物であり、宇宙の中の生物であり・・栄枯盛衰を繰り返し、起承転結、(転生輪廻は分かりかねますけれども。。)氷河期と温暖化が繰り返され、大量絶滅も数回繰り返され・・また、未来は、そのように淘汰されていくのか・・・ということでしょうか。。

脳科学等も勉強していくと、物理学も関係すると感じられます。私は、決して、統一場の理論を理解できないでしょうけど、やはり、上記のマクロ視点といいますか、全てはつながっている・・となるのかなぁ・・とふと、考えました。

”武器の歴史”は、もう売られていないようですね??
私は、自由の国アメリカが、何故、銃を持つことまで許されてしまったのか?と考えます。日本は、そうなってほしくないですね。。将来的にも、”亡国”には、なってほしくないです。

あと、こちらのブログに関係ないことで、大変申し訳ありません。。
大学の図書館を学外(一般)の人が利用するにあたってですけれども、自治体のほうに、何らかの申請をして、手続をすれば、1年間は閲覧だけではなく、本を借りることが可能になるのでしょうか?
もし、そうなら、教えていただきたいと思います。。宜しくお願いします。
チェックしている本が200冊以上はあるのですが、それを購入するとなると、どれくらいの金額になるかは考えたくないです。。。
(勉強日誌を読みましたが、すごい集中力ですね)

gie さんのコメント...

舞さん コメントありがとうございます。物事をすべて科学理論や数学で割り切れるか…というとおそらく割り切れないのだと思います。ただ短期的な事象や日常的な事象のある程度のことまでは解明できる…ということになるのだと思います。今回の東日本大震災も数学では発生を正確には予測できなかったわけですが、こうした臨時的な事象を「べき乗法則」で説明しようとしたのがこの本だと思います。ある意味では科学万能主義や統計学の限界などについて警鐘をならした本ともいえるかもしれません。

あ、それで学外の人間が大学の図書館を利用するさいですが、東京23区の区立図書館ではいくつかの大学図書館と連携しており、まず区立図書館で一定の審査をうけたあと、特定の大学図書館に紹介状をもらうことができます。女性限定ですが文京区の図書館ですと御茶ノ水女子大学の図書館の利用もできるみたいですし、目白大学の図書館なども利用できるみたいですね。私は別の区立図書館の紹介で別の大学図書館の利用をさせてもらっていましたが、膨大な専門書籍とコピー機などが利用できて幸せな時間をすごすことができました。専門図書館はやはり利用のしがいがあると思いますよ。

さんのコメント...

大学図書館の利用について教えていただきまして有難うございます。
ただ、審査があるのですね・・。
私は、総合大学のほうが良いかなぁと思っております。。(現在も、時々使わせていただいておりまして。。。)

物理系の書籍で、”場とはなんだろう”とか、”質量とはなんだろう”超ひも理論etc・・・おそらく、またまた、脳が窒息をおこしかけるかと思えますが、チェックしたい書籍です。
このような本は読まれますか?
自分でも読みますが、もし、読まれるのなら
コメントなども参考にしたいと・・思いました。。

gie さんのコメント...

>舞さん コメントありがとうございます。おそらく区立図書館のウェブページをチェックされると連携している大学のリストもありますからそれもご参考にされればいいと思います。物理系の書籍はもともとあまり読まない(本来は理系なのでちょっとそれは問題ですが)今の時点では統計関係の書籍にやや深入りしています。東日本大震災が発生したのも影響しているのかもしれません。原子力発電所の事故は統計学的に考えるとどうなるか…。普遍的な意見をまとめていくのには、理屈よりも数字のほうが説得力があるのかな、と最近思い始めています。