2011年4月16日土曜日

行動分析学マネジメント(日本経済新聞出版局)

著者:舞田竜宣 杉山尚子 出版社:日本経済新聞出版局 発行年:2008年 本体価格:1800円
人間の行動に焦点をあてて、架空の企業の架空の合併をもとに行動分析学の基礎を紹介している。目に見える「行動」を分析していくという発想は目に見えない無意識などを分析するよりも少なくともわかりやすい。学説的には「死んでいる人にはできないこと」と「行動」を幅広くとらえているが、これはまた行動分析学の今後の可能性の広さを思わせる。人は指示だけでは動かない(少なくとも無理やり動かすことはできても熱意は期待できない)、頭ではわかっていてできるのにやらないという一種の無力感も現実にはある。そこで行動随伴性や強化といった概念で、好ましい行動を増加させ、好ましくない行動を減少させるように工夫をこらすことになる。「あいさつがない」⇒「あいさつがある」といった「ない」から「ある」への変化をいかにこのましいものにしていくのか、自己管理も含めて現実に応用可能なスキルが紹介されている。ビジネス書ではないが、会社の仕事の場面でも使える内容が多い。ストーリー仕立てはわかりやすさを増加させようとする一種の試みだろう。必ずしも成功しているとは思えないが、いきなり論文調で内容に入るよりも好感がもてる。

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