2011年4月28日木曜日

考える野球(角川書店)

著者:野村克也 出版社:角川書店 発行年:2011年 本体価格:760円
高齢を理由に楽天東北ゴールデンイーグルスの監督を「解任」された著者だが、この本を読む限り考え方はしっかりした人生哲学に裏打ちされ、その野球理論にもさらに磨きがかかっている印象を受ける。天性の才能がある一部の野球選手であればアドバイスや理論などは必要ないが、99パーセントの人間は努力と工夫が必要な凡人だ。日本ハムの武田、元ヤクルトの高津といった技巧派ピッチャーがアドバイスをもとにして独自の野球を完成していったプロセス(33ページ)は、ビジネスパーソンにとっても助言をいかにして活用して解釈し、努力の方向を定めていくべきかといった応用がきく内容になっている。球種を増やして生き残りをはかる投手もいれば、リリースポイントを遅くして投球に磨きをかける投手もいる。いずれも工夫、そしてその前提となる「観察」「分析」の結果だが、そのさらに前提として野村氏はバランスのとれたフォームをあげる。ビジネスパーソンでいえば正確なフォームとは、一般的なビジネスマナーをさすことになるだろう。非常識な働き方をする人もいるかもしれないが、だいたいのビジネスパーソンは「社会のおおまかな約束事」をもとにして、そこから独自の工夫を生み出していく。単なる野球理論の本ではなく「考える野球」は「考える働き方」に通じる内容になっていると思う。

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