2011年4月9日土曜日

ビジネス書大バカ事典(三五館)

著者:勢古浩爾 出版社:三五館 発行年:2010年 本体価格:1600円
四六版で336ページとかなりの力作。さらに本文では収録できなかった付録がなんと4段組で巻末に特集されている。ビジネス書とはいっても本書で取り上げられているのは主に「自己啓発」関係の本。経済学や経営学といった学問の入門ガイダンス的な内容は含まれていない。自己啓発というのは確かに怪しいジャンルで人によって効き目があったりなかったりするものだから一種新興宗教と似ている部分もある。そこで、「朝5時におきればなんでも可能になる」「目標を紙にかけば実現へ」というようなテーゼが打ち出されるわけだが、この効能はやはり人によるだろう。で、個人的には、この本で取り上げられている野口悠紀夫さんは、整理手帳という野口さんの発明品を実際に愛用していることもあり、ちょっと的外れな指摘かな、と思った。また小宮一慶さんの本も自己啓発というよりは情報の見方や考え方などが紹介されている本なので「自己啓発」という感じはしないと思う。だがそれ以外の著者についてはおおむね賛同できる。「成功」(そもそもどういう状態をさして成功というのかも問題にされているが)に到るプロセスはやはり人それぞれ。確立された方法があるのであれば、これだけ千差万別のノウハウ本が出版されることもないだろう。手軽に便利に自分の境遇やスキルを向上させることができればそれにこしたことはないが、やはり地道な努力でしか能力の向上はありえない。まあ、自己啓発のすべてを否定するわけではないけれど、怪しいセミナーや怪しい「テーゼ」には眉唾もので接するのが一番だろう。ここ数年書店をにぎわせてきた「自己啓発関連のビジネス本」。そろそろブームも別の方向へ向かう時期にきているのだろう。

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