2009年4月29日水曜日

世界悪女物語(河出書房新社)

著者:渋澤澁澤龍彦 出版社:河出書房新社 発行年:1982年 評価:☆☆☆☆
 文庫本で購入したのが2007年9月20日発行の61刷というすごいロングセラーである。澁澤の選んだ「悪女」はもちろんただものではない悪女ばかり。ルクレチア・ボルジア、エリザバート・バートリ、ブランヴィリエ公爵夫人、カトリーヌ・ド・メディチといった定番組に加えて、エリザベス女王やメアリ・スチュワート、マグダ・ゲッベルスという珍しい顔ぶれも加えられている。「ヒトラー最後の12日間」(映画)ではゲッベルスとその家族の様子も描写されていたが、確かにその奥さんのマグダ・ゲッベルスもきわめて重要な役割を演じていた。その背後に澁澤が紹介するようなエピソードがあったと知ると、なるほど映画でも「ああいう演出になるなあ」といまさらながらに納得できる。付属のエピソードとしてリシュリューがネコをたくさん飼っていた本当の理由などさまざまな含蓄が魅力的な文体でつづられる。21世紀になってもなお固定読者がはなれない理由であろう。

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