2008年5月27日火曜日

利益の方程式(東洋経済新報社)

著者:勝間和代 出版社:東洋経済新報社 発行年:2008年
評価:☆☆☆☆
 たちまちベストセラーになってしまった勝間和代さんの利益の上げ方。売上高の伸びだけにどうしても目がむいてしまうが、そうした中で、利益をいかにしてあげていくか、利益をあげるためには何に注意すべきかといった解説をつけてくれている(売上高マイナス売上原価マイナス販売費が利益ということで売上高と利益が違うことは本を読む前の前提となる)。利益の源泉が他社に追いつかれるまでにいかに稼ぐかがポイントという考え方にはなるほどと思う。「まね」自体はどこもかしかもやっているわけで、宅配便業界もヤマト運輸の革新性を他社がまねることから今の熾烈な競争となった。利益をあげるためには「儲からない仕事をやめること」とすっぱり断定されていたり、顧客獲得コストがほぼゼロの商品が一番儲かるといった視点はタイトル以外にもいろいろ応用がきく。広告宣伝費にお金をかけている企業の売上高は確かに増加するかもしれないが、顧客獲得コストがやはり相当に高くなる。その分利益幅が小さくなるのであまりもうかっていない商品を販売しているという見方もできるわけだ。儲かるビジネスというのは広告宣伝費がかからず販売促進費もかからないブランドが確立されている商品やクチコミで品質が保証されている商品ということになる。品質を落とさずに原価管理していくことの重要性や消費者は「かなり賢い」という前提に立たないと儲かるビジネスが出来ないという指摘にも納得。そうした意味であらゆる複製が可能なインターネットビジネス。相当に用心をしないと売上高を伸ばすという技はそれほどきく分野ではない(すぐフォロワーが追いついてくるため)。むしろ既存産業がなにかしらのアフターサービスを行うための手段としてネットが利用されていくということも今後あるのかもしれない。広告宣伝費の抑制ということではネットほど効果的な媒体はないからだ。

0 件のコメント: