2012年10月10日水曜日

日本の食料問題を考える(NTT出版)

著者:伊藤元重+伊藤研究室 出版社:NTT出版 発行年:2002年 本体価格:3300円
 中央卸売市場や食料問題の書籍を探索しているときに巡りあったのがこの本。最初は興味のあるページだけ読もうとしていたのだが、ついつい内容に引き込まれA5判452ページの書籍を喫茶店で全部読んでしまった。
 日本の食卓をめぐる輸入農産物(開発輸入による)の今後や中央卸売市場の課題、農業協同組合の抱える問題点や戦後の農林水産省による農業政策の課題などを消費者の視点で、しかも簡単なミクロ経済学の理論を用いてすらっと説明してしまう。伊藤研究室で議論した結果がまとめられているということで、複数の人間の考え方で検討した結果がこの本になっているので部外者ながらゼミのプロセスを結果を短時間で入手できるというメリットも。農産物のEDIや外食産業、遺伝子組み換え食品など2012年の現在も課題となっているテーマがバランスよく構成されている。
 伊藤元重氏の書籍はどれを読んでもかならず現場の描写があり、流通問題がとりあげられているのが興味深い。日常的なテーマとややもすれば無味乾燥になりがちな近代経済学をこういう風に組み合わせると「わかりやすい本」になるのか、という面でも参考になる。

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