2012年10月8日月曜日

男の隠れ家を持ってみた(新潮社)

著者:北尾トロ 出版社:新潮社 発行年:2008年 本体価格:362円
 知らない街で知らない人と出会う…。学生時代の清貧旅行みたいだが、これを中年男性が一人でアパートを借りてやってみるとどうなるか。「何か起こるかもしれない」という期待は最初だけで、意外に平穏で、しかも取材にはならない日々が続く…。
 6畳和室と2畳キッチン、トイレ共同で一月35,000円。ちょっと割高な気もするが、「別宅」ということであればこんなものか。ワンルームマンションでもう投資家の買いもつかないような物件だと最近では新宿都心のまんなかでも780万ぐらいの物件がでてきているが、固定資産税や修繕費・管理費などを足していくと2万数千円。やはりそうなるとワンルームを購入するよりも一時的な取材であれば賃貸にしたほうが確かに安い。それにしてもこの本の展開がまるでほとんど見られないというのが逆に興味深い。知らない街の知らないバーでお酒を飲む…会社勤めであれば地方の出張のさいにそうした機会はないでもないだろうが、エッセイストとしては人生に一度は挑戦してみたかったのかもしれない。年齢にもよるけれどもしこういう企画を20代前半のルポライターがやったらもう少し艶っぽい話もでてきたのかも。男50歳、もう知らない街でboy meets girlなんていう展開があらかじめ封印されているため、せいぜい出会うとしても居酒屋の同世代くらいしか可能性がないという…。

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