2009年7月20日月曜日

ザ・ゴール(ダイヤモンド社)

著者:エリヤフ・ゴールドラット 出版社;ダイヤモンド社 発行年:2001年
 この本はすでに2002年には購入。その後7年間放置しておいたのだが、ちょっとしたきっかけで読み始め、一気に読了。「小説仕立て」で「制約理論」を説明…というのが、先入観で「そんな世界に入れない」と思い込んでいた。が、最初の20ページの世界に引き込まれれば「ボトルネック」(制約条件)をいかに発見して、いかにその能力を引き出すかといった「実践」の世界になる。しかもアドバイザーは明確な指示を出さずに基本的には「登場人物が考える」(=読者が考える)という構図になっているので、「自分だったらどうやって在庫を減少させていくか」「どうやってお金を稼ぎ出すか」といった自分自身の問題に置き換えて読んでいくことができる。小説の中では顧客の注文を受けてロット別に個別受注生産を行う架空の工場が舞台だが、これをサービス業の現場や市場見込生産のメーカーに置き換えても汎用できる部分が多くでてくる。そしてそれこそが著者の目論見どおりの結果となる。
通常の「制約条件」だとだいたいグラフがでてきて、2本~4本の直線がグラフ上で交差。その交差点のいずれかで生産を行えば「最大の利益」が達成できる…となるわけだが、現実はそんなに簡単に線形グラフが描けるわけではあるまい。複雑な業務の中に「制約」を見つけて、それを有効利用し、さらに設備投資や人事配置なども含めて制約条件の最大効率化を図る…最終的にはその「考え方」を一般化していこうという試みにまでこの小説は進んでいこうとするのだが、残念ながら「汎化」についてはページ数が足りなかった模様。しかし、「続編」があるので、「思考の汎化」についてはおそらくPART2でページ数がさかれているのではないかと期待。
 

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