「面白おかしい」というタイプの入門書ではない。世界史的なアプローチをとり、しかも割りと平易な文章ではあるが、学者らしく緻密に検討されたうえでの「平易な著述」ということになる。stewardship accountabilityについて説明されたあと、近代会計制度の成立という概念をかみくだいて説明してくれる。「現代会計」の世界に生きる人間にとっては「近代会計」というのは成立しているのが「あたりまえ」の状況だが、近代があって現代がある。発生主義と期間損益計算という2つの概念が「近代」に生まれ、英国とオランダ、そして産業革命と固定資産、発生主義の関係が明らかにされる。取引の2面性を記録・計算・整理する複式簿記のメリット、さらにラテン語印刷が基本とされた時代にイタリア語(俗語)で印刷された「ズムマ」が実用書として複式簿記伝播の原動力となっていく様子がダイナミックに描写される。そして監査の専門家(知的な専門職)の誕生へと著述は流れ、監査、会社法の成立へとページが進む。けっして平易な「コンテンツ」だとは思わない。しかし高度な内容をこの新書サイズでコンパクトにまとめた功績は大きい。新書でこうした会計史に触れることができるのもまた印刷のおかげ、か。
かなりいろいろな分野の書籍を読みますが、まずはビジネス関連書籍を中心に…なお個人的な☆印ですのであまり御参考にはなさらず…自分の好きな本を読んで好きなように活用していただく一助になればと思います。現在合計で2143冊の書籍についてアップロードしています_¢(0-0ヘ)。そろそろ「タグ」をまめにつけて整理していこうかな、と考えています。順不同ですがそのうちに分類基準を決めていきます【^_^】 「濫読」ではあるのですが、定期的に 1.民法・会社法 2.財務会計 3.近代経済学 4.流通・マーケティング 5.世界史関係 の書籍は読むようにしています。
2009年7月19日日曜日
会計の時代だ(筑摩書房)
「面白おかしい」というタイプの入門書ではない。世界史的なアプローチをとり、しかも割りと平易な文章ではあるが、学者らしく緻密に検討されたうえでの「平易な著述」ということになる。stewardship accountabilityについて説明されたあと、近代会計制度の成立という概念をかみくだいて説明してくれる。「現代会計」の世界に生きる人間にとっては「近代会計」というのは成立しているのが「あたりまえ」の状況だが、近代があって現代がある。発生主義と期間損益計算という2つの概念が「近代」に生まれ、英国とオランダ、そして産業革命と固定資産、発生主義の関係が明らかにされる。取引の2面性を記録・計算・整理する複式簿記のメリット、さらにラテン語印刷が基本とされた時代にイタリア語(俗語)で印刷された「ズムマ」が実用書として複式簿記伝播の原動力となっていく様子がダイナミックに描写される。そして監査の専門家(知的な専門職)の誕生へと著述は流れ、監査、会社法の成立へとページが進む。けっして平易な「コンテンツ」だとは思わない。しかし高度な内容をこの新書サイズでコンパクトにまとめた功績は大きい。新書でこうした会計史に触れることができるのもまた印刷のおかげ、か。
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2 件のコメント:
『会計の時代だ』の著者です。
ご紹介戴き恐縮至極、有り難う存じます。
慶應義塾 友岡賛
友岡 賛先生
コメントをいただき、逆に恐縮してしまいます。この新書を拝読させていただきまして、これまで同じ時代に同じように発生したと思っていた期間損益計算と発生主義がそれぞれ別の時代に起源があることを知りました。ありがとうございます。
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