2009年3月26日木曜日

IFRS~国際会計基準で企業経営はこう変わる~(東洋経済新報社)

著者:高浦英夫 出版社:東洋経済新報社 発行年:2009年 
評価:☆☆☆☆☆
 会計の世界ではまだまだずっとビッグバンが続くのだが、その節目となるのが2011年もしくは2012年とされている。これまで世界の会計基準には国際財務報告基準、アメリカ財務報告基準そして日本の会計基準の3つしかなかった(正確には上場企業では…という制約をつけるべきかもしれないが)。カナダも途中までは頑張っていたが、国際会計基準へ。そしてアメリカも国際会計基準を事実上採用することに決定し、現在アメリカ財務報告基準と国際財務報告基準の基礎概念(概念フレームワーク)のすり合わせが行われている。日本の場合、その両者からちょっと距離が置かれているとともに、しかし国際財務報告基準で財務諸表を作成してもよいというアドプションや会計基準の改正によるコンバージェンスが現在行われている。はたしてこのまま日本の独自性を貫きつつ、国際会計基準にも目配せするのが、あるいはもう全面的に国際財務報告基準を導入してしまうべきか…。そうしたちょっとした混乱の時期に、これまでの経緯とこれからの国際財務報告基準とのすりあわせや具体的な会計基準について解説、まとめてくれている本が出た。グローバル経営ではIFRSを積極的に活用するべきといった大きなテーマから出荷基準といった細かなテーマまでちょうどいい分量で解説が収まっている本。価格も1,600円と手ごろな価格だし、しかも2009年のこの時期にしかおそらく情報収集としては役にたたない本であるので今、買って読むのが一番だといえるだろう(2010年にはおそらく状況はまた変化している)。テーマが横に広がっている分だけ縦の深さに物足りない場合にはまたこれから別の専門書籍が次々と改訂されて4月ごろでてくるはず。入門書としてもお勧めだ。

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