2013年4月2日火曜日

立花隆の書棚(中央公論新社)

著者:立花隆 出版社:中央公論新社 発行年:2013年 本体価格:3000円
 650ページを超える単行本でしかも4色ページを豊富にとりそろえ、しかも一部は「観音折り」という製本手法が用いられている。中央部分から外(小口)にむけてページを開く製本で、単純な二つ折りよりも手が込んでいる。しかもジャバラ折りで立花隆の書棚の写真をみせるあたりはもはや圧巻で、これで3,000円は正直安い。4,000円から5,000円の価格設定も「あり」だと思うが書店は発売と同時に平積みでしかも私が購入したときには残り2部となっていたので、やはり立花隆の新刊というだけで一定の売れ行きはもう確実ということか。
 プロのカメラマンが書棚を1つ1つ何日もかけて撮影を重ね、それにコメントを加えていく方式だが、カメラマンへの謝礼だけでも相当なコストになるはずなのだが。
 もちろんこの書棚の写真をみえて「じゃあ、自分も」というのは一般人には無理。文筆専門のプロでないとなかなかビルごと建てて書籍を管理するということはできない。ではこの本が何に有益かというとガイドブックとしてもっとも使い出がある。書店でこれだけのラインナップの装丁や背を見るだけでも何日もかかるが、この本1つあれば気になる本の装丁や内容を一定程度知ることができる。アマゾンなどでも中古本は取り扱っているが、神田の古書店などではネットには出てこない書籍も多数あり(そうでないと店の経営が成立しない)、掘り出し物をぱっとみつけるときには装丁や背をみるだけでもかなりの手がかりとなる。
 それにしてもこの本の造本だけで相当にこっており、よくもまあ、この価格でこのページ数の書籍を出せたものだ。背の裏側のブルーの花ぎれとよばれるアクセントもおしゃれて、カバーはもちろん表紙も4色。ちゃんと「栞」も織り込まれているのだが、これだって1冊あたりコストが上乗せされる。中央公論新社、さすが伝統の会社の仕事である。

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