2008年4月13日日曜日

日本人はなぜ嘘つきになったのか(青春出版社)


著者名:和田秀樹 出版社:青春出版社 発行年:2008年
 人が嘘をつく6パターンを分析し、「振り込め詐欺」「捏造番組」「嘘がエスカレートする理由」などを探索していく。結論としては、ウェブなどの発達で日本人の嘘は減少しているのではないかという仮説にたどりつくのだが、その分、「嘘が巧妙」になってくるケースが予想され、これからさらに「疑う能力」「真贋を見極める能力」が必要になると訴える。
 食品偽装問題にしても欠陥商品にしてもインターネットが発達していない頃の商品情報は一部の新聞もしくは出版社の取材と印刷物に頼らざるをえなかった。企業の広報部は、大手マスコミ関係者の動向さえ管理できていればだいたいの企業イメージの操作もできる時代だったと思うが、ウェブ上の「クチコミ」まではさすがに管理不可能だ。管理不能部分についてはなんの影響力ももてない以上、管理できる部分の生産工程や省資源、環境対策といった面のコントロールを重視していく時代に。結果的に「嘘」が少ない時代に変貌していくのだろう。「正直であるがゆえにかえって信用を増す」という例示として、30代のグラビアアイドル、ほしのあきさんなどが例示されているのだが、ほしのさんの場合も年齢を詐称してグラビアにでるよりも三十代のグラビアアイドルということを材料にしてむしろ人気に火がついた面がある。「年齢をごまかさない戦術」あるいは「自分の欠点をむしろ武器に変えていく戦術」という新しい製品プロモーションや広報戦略などもこれからいくつも実現してくる時代がくるかもしれない。
 

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