2013年3月20日水曜日

銃・病原菌・鉄 下巻(草思社)

著者:ジャレド・ダイアモンド 翻訳:倉骨彰 出版社:草思社 発行年:2012年(文庫本) 本体価格:900円(文庫本)
 上巻は単行本で2007年だか2008年に読み、下巻は時間が経過してようやく文庫本で読み終わる。単行本がでたのが2000年だからベストセラーとなってから約13年後に読み終えたわけだが、内容はなるほど世界中でベストセラーになるだけのことはある。
 唯物史観的な発想だと、原始共産制から封建制度、資本主義と進化論的に歴史が動いていくことになる。そうした考え方では北米のように高度資本主義社会が発達している地域もあれば、ニューギニア高地のように原始生活とさしてかわらない地域もあったとき、人種の優劣の差が社会の発達の差に反映された…という考え方ができなくもない。著者はそうした歴史の「流れ」を排除し、地理的要因や自然環境などから、技術の伝播や農産物の適性などを分析して、社会のあり方を考察していく。そして、これまでの歴史書では地理的要因というのはあまり表にはでてこない分析手法で、一般人にこの本が与えたインパクトは極めて大きい。著者は理系出身の学者だが、理系や文系を問わない歴史像というのは、こうして編まれるべきものなのかと感心。翻訳も読みやすい。

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