著者;三島邦弘 出版社:河出書房新社 発行年:2011年 本体価格:1,500円
このご時世に新しく出版社を立ち上げた著者の奮闘ぶりと書籍に対する思い入れが語られる。キャッシュ・フロー計算書や事業計画書も作成しないで、「思い入れ」だけで直球勝負の出版社経営。しかもその経営理念に共感した従業員が7名集結して、今に至るまで経営が持続しているというすごさ。8万点以上の新刊が1年に書店に流れ込むが、発刊点数が極めて少ないのも常識破りだし、取次を通さないで書店との直接取引を重視するのも異例(ディスカヴァー社などないわけではないが…)。「原点回帰の出版社」ということで、マーケティングや市場効率性などが業務を分断し、「思い」が欠落していくデメリットも指摘。極端な原価計算と市場調査が「計画」、まったく何も考えないでいきあたりばったりに出版していくのが「無計画」とすると、ちょうどこの著者の出版社ミシマ社はその中間にあるといえる(マーケティングを重視はしないが、かといって何も考えずに編集や営業をしているわけではない)。それがタイトルに反映されているが、このご時世に紙の印刷物に思いを託していこうとする若きクリエーターには、おそらく「忘れちゃいけないもの」を著述している本として有益だろう。そして書類の山とゲラの山とに格闘している中堅のクリエーターには「忘れていたもの」を思い出すきっかけになるのではないか。「場」を作っていこうとする型破りな経営者の「思い」が綴られているが、この理念の後継者はなかなか現れないだろうし、まねっこしようとしても真似できる人間はそう簡単にはいない。したがってこのミシマ社ははからずも市場での「差別化」に成功しているともいえる。途中フリーライターに路線変更した従業員もいたようだが、それでもなお多くの従業員がその場で働いているのだから、企業としても「現時点」では成功しているといえるのではないか。それにしてもわずか7年間の編集経験で出版社を設立して、独自の「思い」で取次やら書店やらと交渉して販路も獲得していく手腕はすごい。
このご時世に新しく出版社を立ち上げた著者の奮闘ぶりと書籍に対する思い入れが語られる。キャッシュ・フロー計算書や事業計画書も作成しないで、「思い入れ」だけで直球勝負の出版社経営。しかもその経営理念に共感した従業員が7名集結して、今に至るまで経営が持続しているというすごさ。8万点以上の新刊が1年に書店に流れ込むが、発刊点数が極めて少ないのも常識破りだし、取次を通さないで書店との直接取引を重視するのも異例(ディスカヴァー社などないわけではないが…)。「原点回帰の出版社」ということで、マーケティングや市場効率性などが業務を分断し、「思い」が欠落していくデメリットも指摘。極端な原価計算と市場調査が「計画」、まったく何も考えないでいきあたりばったりに出版していくのが「無計画」とすると、ちょうどこの著者の出版社ミシマ社はその中間にあるといえる(マーケティングを重視はしないが、かといって何も考えずに編集や営業をしているわけではない)。それがタイトルに反映されているが、このご時世に紙の印刷物に思いを託していこうとする若きクリエーターには、おそらく「忘れちゃいけないもの」を著述している本として有益だろう。そして書類の山とゲラの山とに格闘している中堅のクリエーターには「忘れていたもの」を思い出すきっかけになるのではないか。「場」を作っていこうとする型破りな経営者の「思い」が綴られているが、この理念の後継者はなかなか現れないだろうし、まねっこしようとしても真似できる人間はそう簡単にはいない。したがってこのミシマ社ははからずも市場での「差別化」に成功しているともいえる。途中フリーライターに路線変更した従業員もいたようだが、それでもなお多くの従業員がその場で働いているのだから、企業としても「現時点」では成功しているといえるのではないか。それにしてもわずか7年間の編集経験で出版社を設立して、独自の「思い」で取次やら書店やらと交渉して販路も獲得していく手腕はすごい。
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