2008年6月29日日曜日

世界の猟奇ショー(株式会社幻冬舎)

筆者:唐沢俊一+ソルボンヌK子 出版社:幻冬舎 発行年:1999年
評価:☆☆☆☆
 この「世界の猟奇ショー」の前編にあたる書籍があり,その名も「大猟奇」という本。現在は幻冬舎文庫にも文庫本として収録されているが,当時,文庫本ではなく単行本で購入して読んだ記憶がある。鮮烈なイメージとともに思いだす明治から昭和までの三面記事の「囲み」をクローズアップして取り上げた編集の「匠の技」。またそれをリアルに描くソルボンヌK子さんの画筆に圧倒された。その後,その単行本の続編が出ているとは知らなかったがこの「世界の猟奇ショー」は文庫本のみ発行ではあるが,事実上その続編と考えるべきだろう。いきなり頭山満とカイチュウのエピソードや「キミもこうして死ぬかもしれない」というブラックなエピソードから始まる。この世界がまたたまらなく面白いのだが人によっては途中で挫折するかも。でも面白いんだなあ…。個人的には。 前作では新宿2丁目のルミエールでの日常がさらっと書かれていたのだが,その後紀伊国屋書店の2階に上がるエスカレータから1階で談笑する唐沢俊一さんを目撃。漫画どおりの服装なのですぐわかるが,おそらくは相当膨大な資料を読破してその中からえりすぐりの話を特集していると思われるのだが,さらさらまとめたように見えてしまうあたりがこの異才の特技なのだろう。エロとグロを綿密に,かつ丹念に書き込むソルボンヌK子さんの画風もすごい。弟の唐沢なをきさんの作品は毎週,週刊アスキーで拝読しているが相当に「ダーク」な画面でこの御夫婦と弟さんの3人が集まって家族会議をする…となると,とてつもなく面白い家族会議になるに違いない…。エピソード自体がこの本の内容なので紹介はできないのだが,それでも「首なし美人の死体発見さる」(明治43年)のエピソードには違う意味で感心してしまった。平成20年の現在,「美人カリスマ証券トレーダー…」うんぬんのタイトルが雑誌の一部とブログの一部に掲載されたのだが,明治43年から事件が起きると「美人」とか「美女」という煽り文句をつける体質はあんまし変わってないらしい…あ,これはこの本の中身とは関係ないが,そうした脇路的な読み方もいろいろ可能なお徳用の本…。

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