2008年3月18日火曜日

秘密結社(中央公論新社)

著者名:桐生操 出版社:中央公論新社 出版年:2007年
 「大事件の陰で見え隠れする秘密結社」という「秘密結社」の定義から始まり、フリーメーソン、イルミナティ、三百人委員会、テンプル騎士団、シオン修道会、トゥーレ協会、薔薇十字団などが紹介されている。グノーシス派、カタリ派、エッセネ派など過去の宗教教団についてもわかりやすい解説。どうしても個々の組織だけに言及された本だとどれがどういう特徴なのかわかりにくくなっているが、一種のカタログ方式でここまで要約・整理してくれると特徴が把握できて非常にわかりやすい。一種の簡略的な辞書としても利用できるが、残念ながら索引がついていない。主要参考文献が掲載されているだけに、索引もつけてほしかったなあというのが本音。新書ながら300ページを超える厚さなので、どれか何か調べようとしても目次だけから閲覧していくのはちょっと苦労する。「大事件」たとえばフランス革命などでも、確かにフリーメーソン的なロッジが階級をこえた結びつきを強めていった経緯はあるだろうし、エカテリーナ2世の伝記を読んでも「マソン」(フリーメーソン)に対する警戒感が記されている。あまりに過大評価するのも危険だが、かといって歴史の中でその影響力を無視することもできないというのがこの「秘密結社」という表に内部の情報がでてこない組織集団なのだろう。定価860円。電車の中でも気軽に過去の「秘密結社」の世界に入れるというのがメリットか。

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