2007年9月30日日曜日

問題な日本語

著者名 北原保雄編 発行年(西暦)2004 出版社 ;大修館書店
 どこかおかしい、何かおかしいという日本語の実際の使われ方を分析。個人的には「こと」と「事」という表記の統一が興味深い。漢字で「事」と書くことは夏目漱石などの作品にもみられるように珍しくはなかったようだが、当用漢字以後は、「事」と「こと」はかなり厳密に使い分けられるようになったとのこと。「修飾語」をかぶせる場合には特に「事」という漢字よりも「こと」と表記するべき…というコラムに「なるほど」と思った。実際文章を書くときに(特に正式な文章など)、「こと」「とき」「さい」といった何気ない用語の表記の統一でかなり悩むケースが多かったのだが「事」で悩むことはこれからなくなりそうな予感。

2007年9月29日土曜日

使える読書

著者名;斉藤孝 発行年(西暦);2006 出版社;朝日新聞社
 「概念化」と「引用探し」こそが読書の本髄を説くこの新書サイズでは斉藤孝氏独自の「引用」と「概念化」が紹介されている。必ずしもその概念化にひきずられる必要性はないと思うが、本というものから「一本の刀」を取り出すというたとえはわかりやすい。なにかしら役立つものとかイメージを膨らませるような本を捜し求めているわけで、実はウェブの情報収集では、「一本の刀」を取り出すという作業には向いていない部分がある。本当に何かを使えるようにするためには、どこかしら対象物に対して、「強い立場」に立つとともに、ここで「型」(スタイル)の確立を説く著者はまぎれもなく大人の読書方法をわかりやすく解説してくれる真のコーチ、教師といった感じ。

現代人のための脳鍛錬

著者名 ;川島隆太 発行年(西暦) ;2007 出版社;文藝春秋
 認知症の障害は早ければ40代、50代でもありうる。もちろんその治療は大事なことだが、その治療の前に予防はできないだろうか…という視点で本書は書かれている。単純な計算や漢字の書き取り、音読といった作業が脳を活性化させ、一種の予防になるという紹介と人間と動物の違いは前頭前野の発達の違い〈感情や感情の抑制など〉にあると指摘。身近な新聞やお料理といった材料をいかに認知症の予防に利用するのか、といった具体的なスキルも紹介されている。

Googleで困ったときの基本技・便利技

著者名;AYURA 発行年(西暦);2006 出版社;技術評論社
 複数のページを見比べたいときにはシフトキーを押すとか、検索オプション画面の使い方などの紹介が非常に便利。グーグルの使い方の本は結構出回っているが、使えそうであまり使えないスキルでページが埋まっているわりにはお値段が高いというケースもある中でわりと実践的で仕事にも使える内容で価格が880円は良心的だと思う。
 公式文書で検索するのであれば検索オプションで「go.jp」を打ち込んで統計資料を探し出すとか、ファイル形式で検索するとか、読み方がわからないケースでは一部だけカタカタ読みを追加するとか、ビジネス文書のテンプレートを探すとかこれだけでも相当に仕事が楽になる。テンプレートはまめに作成するのが、パソコンで仕事をする際の「基本」だがウェブから収集したテンプレートをさらに独自の加工をこらしてwordのテンプレートに追加しておけば、手紙や文書作成には相当楽になる。お勧め。

悪徳商法

著者名 ;大山真人 発行年(西暦);2003 出版社 ;文藝春秋  
 電話による勧誘の中でも恋人商法、資格商法、当選商法、自己啓発商法、携帯電話による悪徳商法などが紹介されている。ヤミ金融やクレジットカードの被害はわりと古典的だがキャッチレディとよばれる恋人商法は今でも、というよりもウェブ社会になるともっと趣向をこらしていくのではないかとも予想。「本人の意思にそむいた契約は無効」という判例があるのだが恋人商法の場合、こん判例の一文にてらしても犯罪性が立証しにくい。利用されるのはやはり出会い系サイトで、しかも相手を用心させないようなマニュアルまで相当に用意されているというから怖い。
 「自分だけは特別」と思い込む人間の心理的成熟度はとてつもなく低い。いずれもこれらの悪質商法は「あなただけ特別「自分だけ特別」と思わせる一種の演出に支えられている。個人的には、データ的統計的にみても特別にラッキーなことが自分にだけ発生することはない…とわきまえておくことではないかと思う。やっぱりラッキーは自分自身の努力の蓄積の上にしかないわけで。

「恋する力」を哲学する

著者名;梅香 彰 発行年(西暦);2004  
 アリストファネス、ソクラテス、プラトンからユング、フロイトの心理学を用いての村上春樹の「海辺のカフカ」の分析、アニマとアニムスに「永遠の幻像」があるとしつつ、いかにして心理的成長を遂げいくかという一種の解説書というよりも魂の物語。バタイユのエロティシズムについてもかなりわかりやすい解説がついていて、ニーチェ、キルケゴールなども「自分自身の人生を生きていく」というようなわかりやすい解説でこの本だけで一種の哲学入門書としても読める。「実存性」「愛の純度」など忘れかけそうなアイテムについてもこんこんとといていくれる。哲学も科学なのだがそれをかなり実践的な形で紹介してくれているところに著者の「親切さ」が満ち溢れている。

いちばんやさしいオブジェクト指向の本

著者名;井上樹   発行年(西暦);2007  
 Smakktaik とsimulaという古典的な言語の話は聞いたことがあるが、1970年代にすでにアラン・ケイが提唱していたのがこのオブジェクト指向。オブジェクトの方法論については多種多様でその表記方法だけ統一しようということで生まれたのがUML。ライブラリや開発環境、移植性の高さなどが脚光をあびて現在に至るまでの歴史について概説。さらに「ケーキとDVD」というエピソードを使って、オブジェクトとは「ある場面において個別に識別できる何か」という定義を披露して、オブジェクト指向とは「ある場面をオブジェクトの集まりとして現すこと」とする。オブジェクト同士のやりとりがメッセージで、オブジェクトとメッセージがこのオブジェクト指向の基本の2つというわかりやすい解説。オブジェクトがもっている特徴を「属性」そしてオブジェクトによって変化することを「状態」としてオブジェクトに一つのメッセージが与えられても必ずしも同じ結果がかえってくるわけではないことを説明。イベントによって「状態」は変化し、メッセージを受け取るとオブジェクトはメソッドを展開。構造化プログラミングの限界(システムの大規模化)からくるオブジェクト指向やカプセル化の必要性など受験テキストだけでは把握しにくい概念を新書サイズで見事に解説。読んでよかった買ってよかった名作。