tag:blogger.com,1999:blog-86171163148662533032024-03-14T08:26:30.015+09:00ごとりん濫読ぶろっがーかなりいろいろな分野の書籍を読みますが、まずはビジネス関連書籍を中心に…なお個人的な☆印ですのであまり御参考にはなさらず…自分の好きな本を読んで好きなように活用していただく一助になればと思います。現在合計で2143冊の書籍についてアップロードしています_¢(0-0ヘ)。そろそろ「タグ」をまめにつけて整理していこうかな、と考えています。順不同ですがそのうちに分類基準を決めていきます【^_^】
「濫読」ではあるのですが、定期的に
1.民法・会社法
2.財務会計
3.近代経済学
4.流通・マーケティング
5.世界史関係
の書籍は読むようにしています。giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.comBlogger2242125tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-89417976683888137832018-02-12T23:16:00.002+09:002018-02-12T23:17:19.369+09:00絶望ノート<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://3.bp.blogspot.com/-j7l1WZCI0ts/WoGbrammfLI/AAAAAAAAKPs/otNdsUI4W2MZpC76I6bo_4nOn_FfsNEDACLcBGAs/s1600/%25E7%25B5%25B6%25E6%259C%259B%25E3%2583%258E%25E3%2583%25BC%25E3%2583%2588.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="167" src="https://3.bp.blogspot.com/-j7l1WZCI0ts/WoGbrammfLI/AAAAAAAAKPs/otNdsUI4W2MZpC76I6bo_4nOn_FfsNEDACLcBGAs/s1600/%25E7%25B5%25B6%25E6%259C%259B%25E3%2583%258E%25E3%2583%25BC%25E3%2583%2588.jpg" /></a></div>
著者:歌野晶午 出版社:幻冬舎 発行年:2012年(文庫本) 本体価格:838円<br />
「神は人の痛みを測る概念に過ぎない」(ジョン・レノン)の言葉を引用しつつ,「壮絶ないじめ」にあっている「大刀川照音」(たちかわしょおん)14歳は「絶望ノート」をつづる。学力は高くなく,運動も苦手で痩せて背が低いうえ,父親は社会不適合者の無職45歳,母親は仕事をかけもつ48歳。パソコンもスマートフォンも持てない県営住宅暮らしが続く。そうした「大刀川照音」が日記をつづるうちに不穏な事件が学校で発生していく…。<br />
いわゆる叙述ミステリーだが,見事に自分も「嵌った」。形式的な「物語」が興味をひく内容であればあるほど,最後のオチが際立つ仕掛けとなっている。で,この本はまた主人公の「大刀川照音」以外に,わき役の「平均以上に地味な印象を与える」48歳の母親「瑤子」やジョン・レノンに感化されている45歳の父親「豊彦」からの視点も挿入されている。これがまたえらくリアリティのある話で,それぞれが離婚を経験し,経済的に苦しい生活を送りながら子供を育てている様子が描写されている。他の家庭についても記述されているのだが,ここではいわゆる「家庭」の枠組みが崩壊しており,殺人事件など発生しなくても,結末にさほどの違いはないまま「不幸」に突入していったであろう伏線がちりばめられている。<br />
<br />
この一連の事件の犯人は,他のミステリーの犯人と同じ動機付けで「犯行」を重ねていく。つまり「今」(今ある状態)よりも「彼方」(今とは異なる状態)のほうが,必ずや「良い状態」だとイノセントに信じ込めるという無邪気さが動機付けだ。エドガー・アラン・ポー以来の伝統的な犯罪者の考え方を踏襲している。ただ,実際に「今」から「彼方」に移動してみると,さほどのことはなかった,むしろ前のほうが良かったということも実際にはあり得る。48歳の母親の人生も45歳の父親の人生も,また14歳の「大刀川照音」の人生も,「今より彼方」をめざそうとして,これ以上はないほどの結末を迎えるのだが,状態や環境に手を加えてコントロールしていこう…という発想そのものが不幸を招くという作家の主張がかいまみえる気がしないでもない。いずれにせよ主要な登場人物は結局,「神」ではなく「人」によって人生が変わる。いずれも神に祈る時間も機会もなかっただろうから,確かに「神様なんているわけない!」ということになるのだろう。<br />
</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-3880364190424325322018-01-08T18:00:00.001+09:002018-01-08T18:00:29.280+09:00未必のマクベス<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://2.bp.blogspot.com/-h2Zf-gTJTYw/WlMshsGYZSI/AAAAAAAAKPM/wtctN_Ne7J4-SjXu2A1HisonbMUDAsCrgCLcBGAs/s1600/%25E6%259C%25AA%25E5%25BF%2585%25E3%2581%25AE%25E3%2583%259E%25E3%2582%25AF%25E3%2583%2599%25E3%2582%25B9.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="170" src="https://2.bp.blogspot.com/-h2Zf-gTJTYw/WlMshsGYZSI/AAAAAAAAKPM/wtctN_Ne7J4-SjXu2A1HisonbMUDAsCrgCLcBGAs/s1600/%25E6%259C%25AA%25E5%25BF%2585%25E3%2581%25AE%25E3%2583%259E%25E3%2582%25AF%25E3%2583%2599%25E3%2582%25B9.jpg" /></a></div>
著者:早瀬耕 出版社:早川書房 発行年:2017年 本体価格:1,000円<br />
「ヒーロー」が登場する物語では,「ヒーロー」が帰還するのが原則だ。なぜなら帰還しなければその英雄譚を周囲の人間に伝えることができない。映画「ロード・オブ・ザ・リング」の最終も副題は「王の帰還」だった。しかしこの小説では最初から「帰還」が想定されていない。下敷にされている物語が「マクベス」ということもある。主人公の運命は最初から宣言されているわけだが,それでも「面白い」のは,古典的な神話の体系を「マクベス」のさらにその下に置いているからだろう。「マクベス」の下にある「物語」とはホメロスの「オデュッセウス」。トロイア戦争に参加した後に諸国を旅してさまよい,その間王妃ペネロペは貞節を守りながら帰還を待つ。求婚者が多数現れるが,オデュッセウスにしか扱えない弓をひいて的を射貫いた者がペネロペと結婚できる。オデュッセウスは放浪者としてペネロペの前に現れ,見事その弓で的を射貫く…(この小説ではオデュッセウスの弓矢に相当するのが積木カレンダになる)。<br />
主人公の「中井」は38歳のビジネスパーソンで独身。2歳年上の彼女はいるが,どうということはない経歴で,「英雄」としての片鱗が,冒頭ではまったくみえない。それがカジノの「大小」(ダイシウ)でたまたま稼いだ400万円程度を,未公開株式の購入にあてたことから物語に巻き込まれていく。物語なのでさまざまな「怪物」と出会い,最後は自ら設定したビジネスコードと「目的」にしたがっていくのだが,この小説が泣けるのは,主人公が自ら設定したビジネスコードと「目的」に頑なにこだわりつづけるからに他ならない(これがもし普通の優柔不断な男であれば,ここまでこの物語が話題になることもない)。「目的」のなかには「初恋」「ビジネスコード」「正義」「衡平」といった要素が巧みに配置され,多くの読者が共感できる仕組みも設置されている。そしてラストは「渋谷」のなんてことはないバーに場面が引き戻される。物語の始まりは「男性2人組」でラストは「女性2人組」のシーンになる。その瞬間,帰還するはずがない「王」が帰還したことが積木カレンダで暗示される。厳密にはもちろん「帰還」はしていない。ただ「0.999999…」が「1」とほぼ同じであるように,「帰還」したのも同然の終わり方だ。かくして現代の「悲劇」はきっちり様式美を保ったまま完結する。この小説は一度読んだあとにもう一度読んでも面白いはずだ。なぜなら「結末は秘密にしてください,なんていう話はつまらないに決まっている」(9ページ)からだ。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-70260413080094563372017-12-17T23:30:00.001+09:002017-12-17T23:30:23.917+09:00これからの日本,これからの教育<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://2.bp.blogspot.com/-NrPdQM0kMJ0/WjZ7qaTa-lI/AAAAAAAAKO4/xxdURfwUhsAX8la14ecZbVo9S1SorSqGwCLcBGAs/s1600/%25E3%2581%2593%25E3%2582%258C%25E3%2581%258B%25E3%2582%2589%25E3%2581%25AE%25E6%2597%25A5%25E6%259C%25AC%25E3%2580%2580%25E3%2581%2593%25E3%2582%258C%25E3%2581%258B%25E3%2582%2589%25E3%2581%25AE%25E6%2595%2599%25E8%2582%25B2.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="153" src="https://2.bp.blogspot.com/-NrPdQM0kMJ0/WjZ7qaTa-lI/AAAAAAAAKO4/xxdURfwUhsAX8la14ecZbVo9S1SorSqGwCLcBGAs/s1600/%25E3%2581%2593%25E3%2582%258C%25E3%2581%258B%25E3%2582%2589%25E3%2581%25AE%25E6%2597%25A5%25E6%259C%25AC%25E3%2580%2580%25E3%2581%2593%25E3%2582%258C%25E3%2581%258B%25E3%2582%2589%25E3%2581%25AE%25E6%2595%2599%25E8%2582%25B2.jpg" /></a></div>
著者:前川喜平 寺脇研 出版社:筑摩書房 発行年:2017年 本体価格:860円<br />
なぜリベラル勢力は衰退したのか。いろいろ要因はあるが,日本の行政機構や自由民主党などがリベラルの政策を大幅に取り込んでしまったためではないだろうか。その証拠となるような内容がこの本には記述されている。50年前には,こうした内容の本を前文部科学省事務次官や審議官が出版するとは,誰も予想していなかっただろう。だが,時代は変わる。現在は新自由主義(限定的にいえば市場主義を大幅に持ち込み規制緩和をおこなうことでGDPを増やしていこうとする考え方)が優勢で,しかも個人よりも国家の考えを優先する国家主義の時代である。この本の著者はその新自由主義と新国家主義に対して,異論を述べる。その基本的理念は「学ぶ場所の保証」というキーワードに尽きる。<br />
<br />
教育にも市場原理を持ち込むことは可能だが,もしそうした方向が強まると国の教育はどうなるかといった危機感が,各種の事例によって解き明かされる。その視線は朝鮮学校や児童養護施設を退所した人間の行く末にも及ぶ。考え方はいろいろあろうが(また文部科学省の官僚と現場の教員とでも考え方は大きく違うだろうが),21世紀に教育の場を確立するというお二人の意気込みを感じることができる内容である。特に巻末(242ページ以降)に掲載されている前川喜平氏の「公務員である前に」と題した文章は圧巻である。戦後の教育行政のメルクマールとなったことがらをわかりやすく解説してくれている。現在では当たり前となりつつある「生涯学習体系への移行」が1981年の臨時教育審議会に由来することを初めてこの本で知り,義務教育費国庫負担制度をなぜ文部科学省が堅持しようとしたのかも理解できる。<br />
<br />
このお二人の考え方に異論をもつ人もいるだろう(自分自身もいわゆるゆとり教育についてはまだ懐疑的である)。ただ,新自由主義に効果があるかどうかは実は市場が証明してくれる。いわゆるK学園問題(獣医学部の新設問題)である。もし新自由主義が正しいのであれば,新たに設置の認可がおりたその大学には受験性が殺到し,一部の獣医不足の地域の需要も供給によって満たされ,日本の畜産はきわめて安定的な発展を遂げることになる。ただし,もしそうでないならば,やはり市場原理にゆだねるとした自由民主党の一部あるいは行政の一部に不適切な「忖度」があったことを,市場が証明することになる。「学び」の場は保証されるべきであるが,必要な規制は維持するというのがお二人の立場である。どちらが正しいのかを判断する材料は5~6年後にはすでに明らかになっていることだろう。今が旬のテーマであるが,この新書を一時の話題作にしてしまうのはおしい。教育行政を専攻されている学生はきっと学ぶところが多いだろうし,教科書会社や塾の教師など教育にたずさわるあらゆる人間にとって示唆に富む内容だ。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-34994462691359442052017-12-14T23:03:00.000+09:002017-12-14T23:03:31.719+09:00「ヒトの本性 なぜ殺し,なぜ助け合うのか」<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://1.bp.blogspot.com/-e-9Jo2bVdGI/WjJDNzrdy2I/AAAAAAAAKOo/FTTVULI_0EMZqviCd7HZJW7Ss3P8cWKugCLcBGAs/s1600/%25E3%2583%2592%25E3%2583%2588%25E3%2581%25AE%25E6%259C%25AC%25E6%2580%25A7.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="152" src="https://1.bp.blogspot.com/-e-9Jo2bVdGI/WjJDNzrdy2I/AAAAAAAAKOo/FTTVULI_0EMZqviCd7HZJW7Ss3P8cWKugCLcBGAs/s1600/%25E3%2583%2592%25E3%2583%2588%25E3%2581%25AE%25E6%259C%25AC%25E6%2580%25A7.jpg" /></a></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<br /></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
著者:川合 伸幸 出版社:講談社 発行年:2015年 本体価格:760円</div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
人間(ヒト)も生物なので,その宿命から逃れることができない。経済学は合理的な人間を想定しているが,何万年にも及ぶ進化の歴史のなかで培われた特性は,なまじっかな情報通信科学の発達では変化することはないのだ。</div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
その意味では,今もなお続く人間の非合理的な行動の一部を,この新書は説明してくれる。「なんとなく良くない感じ」を人間は頼りに生きているという指摘はある意味,「救い」でもあり,倫理学や哲学の造詣がない一般人でも「倫理的に生きる」ことを示唆してくれている。</div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
で,一番面白いのが「第3章 性と攻撃性~男性の暴力,女性の仲間はずれ」。男性と男性が敵対した場合には,直接的に対決,場合によっては女性と女性が敵対したさいには暴力に結び付くケースは少ない。心理学者の植木理恵さんは,女性と女性の対立を評して「ガールズ・ウォー」と表現した(女性が女性と敵対した場合には直接的な対決ではなく,相手方の関係性を攻撃する。たとえばAちゃんと親しくしているBちゃんやC君に対してAちゃんと仲良くしちゃだめだよ…といった攻撃が関係性の攻撃である)。ま,確かに実際そういう傾向はあるのだが,その裏付けとなる論理がこの第3章で紹介されている。</div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
87ページに記述されている内容だが,進化論的に女性は「繁殖」を成功させるためには暴力による直接的な対決を避けるのが合理的となる。その結果,「間接的な攻撃」として「仲間外れ」が多くなるというわけだ。88ページの実証研究では,「女性のほうが男性よりも,自分の友人が新たな友人関係を築くことに嫉妬しやすい」とされており,特に女性が「仲間はずれ」など攻撃性を発揮しやすいのは「資源を取り合う状況」にあるときだという(資源は男性であることもあればお金などのこともある)。で,興味深いのはこれは人間だけなくチンパンジーもそうなのだという。これもまた進化の歴史で説明できるというが,人間はやはり「生物」なのだな,と実感する。</div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
では人間はいがみあい,闘争ばかりするだけの生物なのだろうか…というとラストで著者は「そうでもない」と希望に満ちた結論を示す。もしろん人間はもともと攻撃的で暴力的だ,という言説もあるのだが,「むしろ人間は(無償で)助け合う本能がある」という説が有力であることが紹介されている。これもまた進化の歴史の流れで説明されている(極端に利己的で闘争的な個体は進化の歴史のなかで集団から排除されてしまうため)。そして社会の維持に必要なのは「互恵性」という重要な指摘がなされる。もちろんこれらはまだ数値などで客観的に確定した「事実」ではないのだろう。今も世界中で戦争や闘争,紛争,仲間はずれに暴力は絶えない。しかし,おそらくは「なんとなく」人間は暴力が嫌いで「互恵性」を大事にする生物である気がする。この「なんとなく」という感じ,おそらく生物学にさほど詳しくなくても,生物としてのヒトが生き延びていくのに大事で重要な感覚ではないかと思う。</div>
</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-64128492746768340582017-12-09T17:06:00.002+09:002017-12-10T23:57:33.777+09:00「Red」<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://3.bp.blogspot.com/-tyivox7aQyw/WiuSy0Eo-CI/AAAAAAAAKNs/YpGYGKjvDpciNgXWSwWQp-HBX7RuBqr4QCLcBGAs/s1600/red.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="179" src="https://3.bp.blogspot.com/-tyivox7aQyw/WiuSy0Eo-CI/AAAAAAAAKNs/YpGYGKjvDpciNgXWSwWQp-HBX7RuBqr4QCLcBGAs/s1600/red.jpg" /></a></div>
著者:島本理生 出版社:中央公論新社 発行年:2017年(文庫本) 本体価格:780円(文庫本)<br />
夫の両親と同居する「村主塔子」(31歳)。2歳の子供を抱えた専業主婦で,旦那(村主真)は,有名企業勤務。第三者からみれば問題は何もない。義理の両親との同居を除けば,そこそこ幸せな家庭のはずだった。しかし,友人の結婚式で10年前に交際していた「鞍田」と再会してから,既定の路線からはずれた人生に目覚め始める…。<br />
日活の「団地妻」的ストーリーとイプセンの「人形の家」を現代風にあらためてなぞりつつ,21世紀の日本に救う「家」と「世間」のしがらみを浮かび上がらせる。20代前半から10年後という設定で,ちょうど世間のしがらみが厳しくなる世代でもある(主人公の年齢が40代であれば,おそらく文芸小説にはならない。なぜなら子供にかける手間もそれほどないうえ,恋にこがれていったこともない。純粋に倦怠期をむかえた夫婦の話にしかならないからだ)。同時に30代前半であれば,またさまざまな選択肢が残されている。ちょうど「塔子」はその選択肢のなかからどれを選ぶべきか…といったポジションに置かれる。この小説にはキリスト教的な意味合いでの神罰やら仏罰は存在していない。「塔子」も不倫相手の「鞍田」も,そして旦那の「真」も,初期条件を与えられた後は自律した「原子」のように動き回る。文庫本239ページの鞍田のセリフが印象的だ。<br />
「俺は外的な罰は当たらないと思ってる。そこに因果関係はない」<br />
「もし罰があたるようなことがあれば,それは見えないものじゃなくて,君(塔子)が,君自身に当てるだけだよ」<br />
当然のことながら宗教的な制約を受けず,物語のなかに設定されている「制約条件」を浮き彫りにしていくと,21世紀の日本の「世間」とそして「経済的な制約条件」の2つが重要なカギをしめてくる仕掛けになっている。恋愛小説なのに会社勤めの話や正社員と契約社員の働きぶりや評価の違いなどが続出するのは,21世紀の日本の「世間」の多くは「会社」で,経済的な制約条件が主人公を含めた登場人物の行動に大きな影響を与えるためだ。過激な性描写は,あまり主人公の生きざまには関係してこない(もっともそれがこの小説の売り,ということになっているようではあるけれど)。<br />
<br />
中世ではないので,家事も自分ででてきて,働くこともできる女性の多くが,家庭に不満をもてば,選ぶ選択肢は決定されてくる。さらに,世間のほとんどが「会社」であるならば,(一定の能力さえあれば)「世間」は変更可能だ。抑圧された女性がとった道は,それなりに険しいものであったことはさりげない描写で巻末に描かれているが,この本のメッセージを凝縮するとすれば,「思っているほど世間も経済的制約もたいしたことがなく,すべての個人は自立するべきだ」ということになろうか。なお,タイトルの「Red」は「塔子」と「鞍田」がとある場所であったときのとあることに由来している(文庫本272ページ)。人間の本性は世間の常識とは違うのだよ…という現実を微細に覗き込む著者の「感性」を感じるタイトルだ(このあたりが普通の恋愛小説とは異なる部分なのだろう)。<br />
(追記)不倫小説ではあるものの,実は「ルパン3世 カリオストロの城」と同じ物語の構図をとっている。クラリスは男爵に物理的に「塔」のなかに幽閉されているが,ルパン3世によって解放され,最後,ルパン3世はクラリスの「心」だけを盗んでどこかしらへ去っていく。「村主塔子」は精神的に「家庭」に幽閉されているが,「鞍田」と再会することで新たな自分の人生を見出し,しかし「鞍田」とは結婚せずに暮らしていく(つまり心と思い出だけを共有している)。くしくも「村主」の名前には「塔」の文字も入っている。<br />
もしこの小説を純愛路線で描写したならば…おそらく「カリオストロの城」の現代版ということになり,しかも冒険活劇の要素はないわけだから,面白くもなんともない小説になっていたことだろう。過激な性描写はやはり必要不可欠な要素だったのだ。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-53914810044608071232017-12-04T02:55:00.001+09:002017-12-04T02:55:46.269+09:00「吉祥寺探偵物語 消えた少女」<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://1.bp.blogspot.com/-fe4hNajYPi0/WiQ2G-z8vTI/AAAAAAAAKNY/FlfRh8oeG1wg9qlqQlJXNCaGH5k9eF1_QCLcBGAs/s1600/%25E5%2590%2589%25E7%25A5%25A5%25E5%25AF%25BA%25E6%258E%25A2%25E5%2581%25B5%25E7%2589%25A9%25E8%25AA%259E.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="178" src="https://1.bp.blogspot.com/-fe4hNajYPi0/WiQ2G-z8vTI/AAAAAAAAKNY/FlfRh8oeG1wg9qlqQlJXNCaGH5k9eF1_QCLcBGAs/s1600/%25E5%2590%2589%25E7%25A5%25A5%25E5%25AF%25BA%25E6%258E%25A2%25E5%2581%25B5%25E7%2589%25A9%25E8%25AA%259E.jpg" /></a></div>
著者:五十嵐貴久 出版社:双葉社 発行年:2014年3月 本体価格:630円<br />
「宝物探し」が「物語」の基本モチーフだとすれば,この本の「宝物」は,「細い肩,長い黒髪,頼りなげなその表情」が印象的な「柳沼純菜」(32歳)の一人娘だ。宝物探しに挑むのは身長175センチ,38歳のコンビニエンスストアのアルバイト店員「川庄」(元は銀行員)。つい3年前に離婚歴があり,妻の「由子」が若いスタッフとできて離婚を突きつけられたという「傷」を持つ。物語の主人公には必ず「傷」があるが,この本では主人公の経歴や離婚歴が「傷」となっている。<br />
実は「犯人捜し」はさほど難しい本ではない。最初の数十ページでおおよその推定はきく。また「少女」(=宝物)の所在も,薄々検討がつく。にもかかわらず最後まで読んでしまうのは,やはりこの主人公の「傷」がラストでどのように癒されるのかがどうしても知りたいから,に尽きる。けっして頭が悪いわけでもなく(むしろ観察眼は鋭い),さらに人間的魅力に乏しいわけでもない。倫理観や責任感もあり,社会的には「底辺」とみなされる職業状態であっても,けっして人間の尊厳を失っているわけではない(事実,通いつけのバーには主人公のファンもいて”捜査”に協力もしてくれるのだ)。で,最後に主人公は「一定の救済」が与えられるわけではあるが…。<br />
この吉祥寺探偵物語はその後シリーズ化されている。推理小説としてのプロットが弱いのにファンがついたのは,主人公の「傷」が普遍性を持つからだろう。結婚に失敗した人・銀行など会社を30代で辞めざるをえなくなった人・いろいろな思いで30代をアルバイトで過ごしている人・経済的に困窮している人…世の中にはさまざまな傷を負っている人が多々いるわけだが,社会的あるいは心に傷を負っていても倫理観や社会的な責任感まで放棄している人はまれだ。そうした人たちの夢と希望をこの小説の主人公は,仮想現実の世界で「現実化」してくれている。事件そのものは「救い」がないが,最後まで「自己の倫理哲学」を通した主人公がささやかな幸せを手に入れた瞬間に,読者もまた解放感と喜びを味わう。けっして身体的に優れているわけでもなく,社会的地位が高いわけでもない徒手空拳の「傷を持つヒーロー」。近代まれにみるデフレーションの時代にこそ登場するべきして登場してきたヒーローといえる。<br />
</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-22127637735233767082017-11-27T00:15:00.001+09:002017-11-27T00:15:14.145+09:00[ノーマンズランド」<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://1.bp.blogspot.com/-V7IU3Dmhb5g/WhrVT8v-_EI/AAAAAAAAKM0/vG9dM7cUxu4JR7VH5cXPzWSzcX2Pg-kYwCLcBGAs/s1600/%25E3%2583%258E%25E3%2583%25BC%25E3%2583%259E%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25BA%25E3%2583%25A9%25E3%2583%25B3%25E3%2583%2589.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="175" src="https://1.bp.blogspot.com/-V7IU3Dmhb5g/WhrVT8v-_EI/AAAAAAAAKM0/vG9dM7cUxu4JR7VH5cXPzWSzcX2Pg-kYwCLcBGAs/s1600/%25E3%2583%258E%25E3%2583%25BC%25E3%2583%259E%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25BA%25E3%2583%25A9%25E3%2583%25B3%25E3%2583%2589.jpg" /></a></div>
著者:誉田 哲也 出版社:光文社 発行年:2017年11月 本体価格:1,600円<br />
「ストロベリーナイト」シリーズの最新刊で,主人公の姫川玲子は警視庁刑事部捜査第1課で,統括主任日下の下で働いている。虎ノ門1丁目の喫茶店の描写が冒頭にあるのだが,実際に自分自身も利用したことがあるカフェで,小説の描写はかなり的確だ。おそらく著者はこの虎ノ門1丁目以外のいろいろな地域についても実地に足を運んでいるのだろう。当初は21歳の女子大生が自宅マンションで殺害されているのが発見されたことから始まる。ただ容疑者が別の事件で別の所轄警察署(本所警察署)に身柄を勾留されていたことから,姫川は表面的な事件のさらに深層に入り込んでいくことになる…。<br />
心に傷を負いながらひたすら捜査に入り込み,時には関係部署と軋轢を巻き起こしながらも真相にたどり着こうとする姫川の生きざまが魅力的だ。かつての部下や上司がそうした姫川の心情に思いをはせながら,必要なときには助けを差し出す(一種のエンパワーメントともみえなくはない)。そしておそらくは読者もそうした姫川の「支援者」として物語を読み進めていくことになる。人気シリーズの最新刊で,結局,姫川の心の傷は癒えないままなのだが,検察庁に新たな「支援者」が登場する場面で物語が完了している以上,このシリーズはさらに続くのだろう(おそらくこのシリーズが完結するのは姫川の心の傷が癒えたとき,つまり結婚したときになる可能性が高い)。<br />
物語の構造そのものは,緻密な現場取材とその描写で,ともすれば荒唐無稽にも思える内容にリアリティが与えられている。そして物語のカギを握る動画データについても,姫川は警視庁のなかの会議室で見ることになる。いわば「宝物探し」には成功しているので,この手の警察小説の常道として読者はカタルシスを得ることはできる。にもかかわらず,読後に落ち着きがなくなるのは,姫川のもう一つ裏のキャラクターといえる「悪徳刑事勝俣」(テレビでは武田鉄矢さんが演じていた)が背後にいて,この両者の戦い(調整)が終わらないことと,おそらくは次回作でさらに「地獄めぐり」を姫川が経験することになる予感が暗示されているからだろう。でもそれは,この「ストリベリーナイト」シリーズの人気を支える基本的な構造でもある。ついに「民自党の政治家で元警察官僚」なる「悪の大ボス」までこの本では登場してきている。読者の日常生活は必ずしも警察や犯罪とは無縁のものだが,「勝俣」「悪の化身」「悪への誘因」「心の傷」といったテーマは無数に存在する。おそらくは…このシリーズの読者は私も含めて,そうした記号を日常生活の別の記号に置き換えて読んでいるのだろう。だとすれば,物語がハッピーエンドにならないのは,マーケティング的にも正解だ。なぜなら悪への誘因もなく心の傷もなく,ライバルのいない主人公に対しては,何の思い入れも持ちようがないはずだからだ。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-43379014135815289682017-11-24T00:09:00.001+09:002017-11-24T00:09:48.855+09:00「白いしるし」<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://4.bp.blogspot.com/-8Gooh29zRgE/WhbcNeYTtoI/AAAAAAAAKMk/j_VGN_6a9-AlbcRUtNJWX2kgKZhUPyKmwCLcBGAs/s1600/%25E7%2599%25BD%25E3%2581%2584%25E3%2581%2597%25E3%2582%258B%25E3%2581%2597.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="175" src="https://4.bp.blogspot.com/-8Gooh29zRgE/WhbcNeYTtoI/AAAAAAAAKMk/j_VGN_6a9-AlbcRUtNJWX2kgKZhUPyKmwCLcBGAs/s1600/%25E7%2599%25BD%25E3%2581%2584%25E3%2581%2597%25E3%2582%258B%25E3%2581%2597.jpg" /></a></div>
著者:西加奈子 出版社:新潮社 発行年:2013年7月1日 本体価格:430円<br />
32歳独身で,「アルバイトをしながら,金にならぬ絵を描いて」「国民健康保険料を払うのさえ覚束ない」状態の夏目。高校時代は大人しい生徒だったが,ある日突然,髪を青くして登校し,7歳年上の美容師と交際していたこともある。この本で印象的なのは,「色」だ。主人公の夏目の髪は黒から青へ,そしてまた黒に戻る。そして下北沢のギャラリーで,白い地に白い絵の具をすっとひいた富士山の絵画に出会う。主人公の夏目が,「間島昭史」と出会うきっかけとなる。<br />
この出会いから主人公は尋常ならない「恋」に陥る。Amazonの書評をみると,「こんな痛々しい経験したことがないからわからない」といった評判なのだが,はたしてそうか。ここで副読本として用いたいのは,「愛はなぜ終わるのか」(ヘレン・フィッシャー 草思社 1993年発行)の41ページだ。恋愛感情の第1段階は「匂い」や「視線」などが影響を持つが,最終的には「思考の地図」だとヘレン・フィッシャーは指摘する。すでに子供時代に家族や友人,偶然の出会いのなかで「思考の地図」ができあがり始めているとフィッシャーはいう。「夏目」は「間島」の用いた「絵の具」に反応したのだが,高校時代に出会った恋人は「青」のイメージであって「白」ではない。おそらくなんらかの「思考の地図」が夏目の頭のなかにすでにできあがっており,「間島」のギャラリーでそれが触発されたのだろう。フィッシャーによるとこの「思考の地図」はビジネススーツだったり,医者の白衣だったりすることもあるという。<br />
「夏目」の横にはすでに何度も飲み屋で飲んでいる「瀬田」という男もいるのだが,この男は「夏目」の恋愛対象にはそもそもならない。なぜなら「思考の地図」にあてはまらないからだ。<br />
「夏目」はさらに「好き嫌いがはっきり」しており,「少しでも悪意やずるいのを感じると」許せない「間島」に心をひかれていく(「白い」のイメージがその上に増幅されていく)。そして「夏目」自身も白の絵の具を多用するようになっていく(73ページ)。そして物語は佳境を迎えるが,その部分は省略するべきだろう。いずれにせよ,「夏目」は「間島」と交際し,心の交流を深めるが,「間島」は「夏目」のもとを去る。<br />
そして「夏目」は夜中にホルベインのジンクホワイトを体中に塗りたくる…。<br />
<br />
小説としては,「恋」の独占欲など「我執」のすさまじさを丁寧に,かつうまく描いている。「ホルベインのジンクホワイト」が一種の性的な象徴なのも仕掛けの一つだろう。だがもう一つ,生物学的な要因もある。人間の大脳片縁系を刺激すると,喜びや悲しみといった感情が巻き起こる。特にフェニルエチルルミンという物資が重要だ。ざっくりいうと,「思考の地図」にあてはまる「間島」に対して,「夏目」の脳が刺激され,フェニルエチルアルミンが脳内をかけめぐった状態になったということになる。そのきっかけが「ホルベインのジンクホワイト」だった…。<br />
「愛はなぜ終わるのか」の著者フィッシャーは,このフェニルエチルアルミンの効果は1年半から3年で消えるとしている。したがって,ラストはなかなか痛ましい終わり方ではあるのだが,その1年半後(つまり33歳か34歳に夏目がなったころ)には,こうした「恋」または「愛」または「愛着」は消える。ただ,30代半ばのフリーターの日常生活を著者は描こうとはしないだろう。たとえホルモン物質による現実の勘違いだったとしても,その瞬間は,誰にも起こりうる状態だ。そしてもしかすると人生80年のうち,たとえそうした期間が1年半しかなかったとしても…その人の人生は意外に充実したものだといえるのかもしれない。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-13221017310052099532017-11-22T00:46:00.001+09:002017-11-22T00:46:49.143+09:00「先生も知らない経済の世界史」<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://3.bp.blogspot.com/-zdQX93KCVJE/WhRHgTP6_JI/AAAAAAAAKMU/h_g1wjgSHagLPgueRn41n3412qGw8MytwCLcBGAs/s1600/%25E5%2585%2588%25E7%2594%259F%25E3%2582%2582%25E7%259F%25A5%25E3%2582%2589%25E3%2581%25AA%25E3%2581%2584%25E7%25B5%258C%25E6%25B8%2588%25E3%2581%25AE%25E4%25B8%2596%25E7%2595%258C%25E5%258F%25B2.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="154" src="https://3.bp.blogspot.com/-zdQX93KCVJE/WhRHgTP6_JI/AAAAAAAAKMU/h_g1wjgSHagLPgueRn41n3412qGw8MytwCLcBGAs/s1600/%25E5%2585%2588%25E7%2594%259F%25E3%2582%2582%25E7%259F%25A5%25E3%2582%2589%25E3%2581%25AA%25E3%2581%2584%25E7%25B5%258C%25E6%25B8%2588%25E3%2581%25AE%25E4%25B8%2596%25E7%2595%258C%25E5%258F%25B2.jpg" /></a></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<br /></div>
著者:玉木俊明 出版社:日本経済新聞出版社 発行年:2017年 本体価格:850円<br />
高校の世界史はすべての一般教養の基礎となるが,そこからさらに奥深い世界に行くのには,ある程度その分野の書籍を読み込んでいく必要がある。ちょうど高校を卒業したばかり,あるいは大学で一般教養や専門分野の歴史について学ぶ必要がある人にはちょうどいい内容ではあるまいか。もちろん大学を卒業してから世界史には触れる機会がなかった社会人にとっても,学校で学習した内容が現在どのように進化しているのかを知る良いきっかけになる。<br />
おおむね4つの基本骨子(大塚久雄やダグラス・ノースなどの学説紹介・アジアの発展の理由・ヨーロッパの経済成長・社会主義経済をはじめとする近現代の世界経済)にそってテーマごとに執筆されている。特に「流通」に着目した世界史の分析は,この本を読むと理解が進むだろう。スペインのガレオン船と中国のジャンク船については,それぞれ個別ばらばらに学習するはずだが,銀の流通にガレオン船が使われた根本的な理由と当時の中国がこうむった「機会損失」については,この本を読むまで思い浮かべることもなかった。過去を通して現在を見るという意味では,「流通」を軽視すると国家経済にまで大きな影響が及ぶということにもつながる(電子商取引がいかに進化しても,流通をどうするのかはアナログ面で解決しなくてはならない。その意味で,この部分を軽視する電子商取引は目先の利益とは異なる展開を生みかねない…という発想につながる)。<br />
とはいえ過去に学習したことがらをさらに発展させた内容なので,気軽にすらすらというわけにはいかないかもしれない。googleなどで関連する用語(たとえばセファルディムとかディアスポラなど)を検索して調べながら読む,山川出版社の世界史用語集と横において読むというのも一つの手だろう。単なる歴史マニアの参考書というのにとどまらず,おそらくいかなる分野であっても「今」を考えるのに必要な材料を得ることができるのは間違いない。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-22654616755086679632017-11-15T18:57:00.003+09:002017-11-22T00:54:40.793+09:00「おそろしいビッグデータ」<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<span style="font-family: MS Pゴシック;"></span><br />
<span style="font-family: MS Pゴシック;"></span><br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<span style="font-family: MS Pゴシック;"><a href="https://4.bp.blogspot.com/-BOlFr0gtavM/WgwPB9zjm3I/AAAAAAAAKMA/7-ESQH21EOgnXayFd6q2e_GOCMyJnB50wCEwYBhgL/s1600/%25E3%2581%258A%25E3%2581%259D%25E3%2582%258D%25E3%2581%2597%25E3%2581%2584%25E3%2583%2593%25E3%2583%2583%25E3%2582%25B0%25E3%2583%2587%25E3%2583%25BC%25E3%2582%25BF.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="157" src="https://4.bp.blogspot.com/-BOlFr0gtavM/WgwPB9zjm3I/AAAAAAAAKMA/7-ESQH21EOgnXayFd6q2e_GOCMyJnB50wCEwYBhgL/s1600/%25E3%2581%258A%25E3%2581%259D%25E3%2582%258D%25E3%2581%2597%25E3%2581%2584%25E3%2583%2593%25E3%2583%2583%25E3%2582%25B0%25E3%2583%2587%25E3%2583%25BC%25E3%2582%25BF.jpg" /></a><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">出版社:朝日新聞出版 著者:山本龍彦 発行年:</span><span lang="EN-US"><span style="font-family: "century";">2017</span></span><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">年 本体価格:</span><span lang="EN-US"><span style="font-family: "century";">720</span></span><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">円 <span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"> <span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">「ビッグデータ」の威力はすさまじい。</span><span lang="EN-US"><span style="font-family: "century";">Amazon</span></span><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">の買物や</span><span lang="EN-US"><span style="font-family: "century";">Yahoo</span></span><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">のお勧めニュースなどで日々それを実感する。便利な反面,そこに薄気味悪さもある。ある種類のアルゴリズムで商品を選定して呈示したり,ニュースを選別して配信しているわけだが,そのアルゴリズムを少し変更するだけで個人が特定されたり,就職や住宅ローンの融資条件に転用することができるかもしれない…。<span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"> 情報科学の視点よりも著者は憲法</span><span lang="EN-US"><span style="font-family: "century";">13</span></span><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">条の理念から,ビッグデータの「おそろしさ」を説明してくれている。アメリカや</span><span lang="EN-US"><span style="font-family: "century";">EU</span></span><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">の現在の状況についても情報を入手できるので,「お得な新書」だといえる。なにより憲法など日常生活には関係ないと考えている一般人にとっても,あらためて憲法</span><span lang="EN-US"><span style="font-family: "century";">13</span></span><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">条について理解を深める良いきっかけになるだろう。<span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"> 「情報化社会」とは,情報そのものが金銭価値をもつ時代である。とすれば巨大な情報の集積である「ビッグデータ」はとてつもない金銭価値をもつと同時に,「悪」が入り込む余地が多々ある電脳空間といえる。「小人」である一般人には巨大な悪はなかなか見ることや認識することができない。だからこそこうした新書で,自らのリスク感覚を研ぎ澄まし,目の前にある危機について肌身で感じることが大切になる。</span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"> で,この著者がNHKの夕方の番組で,「個人情報活用派」と「保護派」に番組構成上やむなく色分けされて出演しているのを拝見した(厳密には,保護とりわけ憲法13条に配慮した保護が確立されたうえで個人情報を活用していこう…というのが著者の主張であって,全部が全部保護がすべてという主張ではない)。本書でも紹介されている考え方だが,アカウント名をタグにすれば匿名加工された個人情報であっても,個人を特定することがいとも簡単にできるという現状について紹介されていた。</span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"> 便利なことはもちろん便利なビッグデータだが,場合によっては近代国家の原理の一つである個人の尊重がないがしろにされるという指摘については,もっと政府も,そして情報科学や理系の人間は考えてもよい頃だと思う。</span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">
</span></span></span></span></span></span></span></span></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: MS Pゴシック;">
</span></span></div>
<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<span style="font-family: MS Pゴシック;"></span><br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span lang="EN-US"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><span style="font-family: "ms 明朝" , serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"></span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></span></span></span></span><br /></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<br /></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<span style="font-family: MS Pゴシック;">
</span></div>
<br />
<br /></div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-81780772978866213552017-11-13T19:50:00.002+09:002017-11-13T19:50:53.258+09:00「わたしの好きなおじさん」<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<span style="font-family: MS Pゴシック;">
</span><span style="font-family: MS Pゴシック;"><a href="https://3.bp.blogspot.com/-fqAWKJZ7cDc/Wgl45-ZG9uI/AAAAAAAAKLw/75ktKm3UOaQeQqff6SR5m-VuByGYnPQTQCLcBGAs/s1600/%25E3%2582%258F%25E3%2581%259F%25E3%2581%2597%25E3%2581%25AE%25E5%25A5%25BD%25E3%2581%258D%25E3%2581%25AA9.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="175" src="https://3.bp.blogspot.com/-fqAWKJZ7cDc/Wgl45-ZG9uI/AAAAAAAAKLw/75ktKm3UOaQeQqff6SR5m-VuByGYnPQTQCLcBGAs/s1600/%25E3%2582%258F%25E3%2581%259F%25E3%2581%2597%25E3%2581%25AE%25E5%25A5%25BD%25E3%2581%258D%25E3%2581%25AA9.jpg" /></a><span style="font-family: "MS 明朝",serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">著者:南綾子 出版社:実業之日本社 発行年:</span><span lang="EN-US"><span style="font-family: Century;">2013</span></span><span style="font-family: "MS 明朝",serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">年 本体価格:</span><span lang="EN-US"><span style="font-family: Century;">617</span></span><span style="font-family: "MS 明朝",serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">円</span></span><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "MS 明朝",serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"> 「物語」の主人公には,なにかしら欠けた部分が存在する。この物語に登場する「おじさん」はすでに年齢を重ねている分だけ,「欠けている」といえなくはない。さらに年齢だけでなく,性格的にも個性のあるおじさんが</span><span lang="EN-US"><span style="font-family: Century;">6</span></span><span style="font-family: "MS 明朝",serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">人登場する。</span></span><span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: "MS 明朝",serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"> 「ロード・オブ・ザ・リング」などハリウッドの映画が古典的なストーリーで構築されているのと同様に,6つの短編はいずれもその筋は古典的な流れで固められている。いったんは「あっち側の世界」に飛び越えていって主人公は最終的にこちら側に戻ってくるのが実は一番ストーリーが安定する(「ロビンソン・クルーソー」だって主人公は最終的にはこちら側の世界に戻ってくる)。で,将来に行き詰まりを感じた</span><span lang="EN-US"><span style="font-family: Century;">6</span></span><span style="font-family: "MS 明朝",serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">人の女性も,いったんは「あっち側」(非日常生活)に飛び越えていくが,最終的には「こちら側」(日常生活)に戻ってきて,話自体は安定するという構図である。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span><br />
<span style="font-family: MS Pゴシック;"><span style="font-family: MS Pゴシック;">
<span style="font-family: "MS 明朝",serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"> ただそれだけで終わらないのがこの著者の力量で,特に「不思議なおじさん」はとてつもなくすごい仕掛けがあちこちに散りばめられている。一見,悲劇的な終わり方のようでいて実際にはハッピーエンドの予兆を読者に読み取らせるという手腕は見事だ。まあ簡単に「あらすじ」の「さわり」を書くと,死のうとしている元</span><span lang="EN-US"><span style="font-family: Century;">AV</span></span><span style="font-family: "MS 明朝",serif; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">嬢が田舎町にやってくる。そこで精神的に大きな問題を抱えているおじさんと出会う。なぜかそのおじさんに心ひかれるが,最後はそのおじさんと悲劇的な別れを遂げる。しかし,その一方で幸せな出会いを予感させるくだりが…ということで,「死のう」としていた女性が「生きる希望」のとっかかりを得るまでのくだりが小説となっている。他の短編は正直ちょっと疲れる展開だったのだが,「不思議なおじさん」。読んでる方にも希望を与えてくれる。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></span><br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<span style="font-family: MS Pゴシック;">
</span></div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-79982091849546718142017-11-05T20:54:00.001+09:002017-11-05T20:55:09.406+09:00「残酷過ぎる成功法則」(飛鳥新社)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://4.bp.blogspot.com/-aMf_zQh0YOc/Wf75eVEbEMI/AAAAAAAAKLY/2-TaoGNzRGEitn_Wd_BE9gW4vJ-jNMD-wCLcBGAs/s1600/%25E6%25AE%258B%25E9%2585%25B7%25E9%2581%258E%25E3%2581%258E%25E3%2582%258B%25E6%2588%2590%25E5%258A%259F%25E6%25B3%2595%25E5%2589%2587.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="173" src="https://4.bp.blogspot.com/-aMf_zQh0YOc/Wf75eVEbEMI/AAAAAAAAKLY/2-TaoGNzRGEitn_Wd_BE9gW4vJ-jNMD-wCLcBGAs/s1600/%25E6%25AE%258B%25E9%2585%25B7%25E9%2581%258E%25E3%2581%258E%25E3%2582%258B%25E6%2588%2590%25E5%258A%259F%25E6%25B3%2595%25E5%2589%2587.jpg" /></a></div>
著者:エリック・パーカー 出版社:飛鳥新社 発行年:2017年11月3日 本体価格:1,500円<br />
あとがきも含めて本文で366ページ,さらに巻末に30ページ以上の参考文献の出典リストが掲載されているので全体で400ぺーいを超える大部の本となる。理由は自己啓発本にありがちな「結論」や「思い込み」をエビデンス(証拠)をもとに検証しているためで,科学的知見を含めた出典を明示することで,読者は自分の実生活にある程度の客観性をもって有効活用できる構造となっている。おそらくは,日本でも多数出版されている自己啓発関連の書籍の多くが心理学やゲーム理論など数々の科学的知見をもとにした内容にこれから変化していくものと予測される。<br />
で,内容だが正直いって面白い。なにせ「楽観主義がいいのか悲観主義がいいのか」といった不毛な議論について,一定のエビデンスをもとに著者は結論を出してくれている。「ワーカホリックがいいのかワークライフバランスがいいのか」といった議論も納得のいく結論が出されているので,「本当かなあ,どうかなあ」といった疑問を抱きつつ本を閉じるといったことはない。で,おおむね結論は割と「平均的」かつ「日常の常識にてらして妥当」である。楽観主義ばかりではリスクを認識しないので破滅する,悲観主義は事態を正しく認識するが前向きにならない。だから適度にバランスをとろうということになるが,であればあまり自己啓発関連の書籍は読まなくてもそこそこうまく人生は運ぶような気もする。<br />
個人的に参考になったのは,困難な事象に直面したさいに「ゲーム性(娯楽性)を導入する」というアイデアだ。大きな目標を小さな目標に分割するのは誰でもやっていることだが,そこにゲーム性を持ち込むとさらに楽しさが倍増する。読み方は人それぞれだろうが,「どうも自己啓発系はうさんくさいなあ」と日ごろから思っている方には特におすすめの内容である。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-71883863362611069012017-10-29T22:15:00.000+09:002017-11-27T00:18:59.502+09:00「弱者の戦略」(新潮社)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
</div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://2.bp.blogspot.com/-5B047TzkSEo/WhrbWWyi3fI/AAAAAAAAKNE/SCnQTOSJN5cmMrGFFmieDHfVcfLBT9DXwCLcBGAs/s1600/%25E5%25BC%25B1%25E8%2580%2585%25E3%2581%25AE%25E6%2588%25A6%25E7%2595%25A5.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="250" data-original-width="167" src="https://2.bp.blogspot.com/-5B047TzkSEo/WhrbWWyi3fI/AAAAAAAAKNE/SCnQTOSJN5cmMrGFFmieDHfVcfLBT9DXwCLcBGAs/s1600/%25E5%25BC%25B1%25E8%2580%2585%25E3%2581%25AE%25E6%2588%25A6%25E7%2595%25A5.jpg" /></a></div>
<div style="text-align: left;">
</div>
<br />
<br />
<div>
著者:稲垣栄洋 出版社:新潮社 発行年:2014年 本体価格:1100円</div>
<div>
タイトルだけからすると「自己啓発系」の書籍にも見えるが,実際は「生物の本」。弱肉強食の自然界にあって,「弱者」(著者の定義ではナンバー1になれない生物はすべて弱者)がなぜ滅びないのかをわかりやすく解説してくれている。弱者には弱者の生存戦略がある,というとこれもまた自己啓発ぽくなるが,著者の分析は「そもそも弱者とは何か」といった深いところまで及ぶ。鋭い牙や爪をもつ生物が必ずしも「強者」というわけではないという指摘も興味深い。</div>
<div>
最初の100ページはイワシが群れる理由や蝶のように舞う戦略などが紹介されている。ただ一番実生活に応用可能なのは88ページから99ページに記述されている「中程度攪乱仮説」を紹介した部分だろう。経営戦略と同様に生物もニッチに資源を集中させると強者に勝つことが可能になる。しかしそれだけではなく,「一定の変化」が新しい環境を生み,その新しい環境に適合させる過程で多くの「弱者」がチャンスをつかむことを説明した部分である。生物学の知見をそのまま人間にあてはめるのはもちろんリスキーな話ではあるが,「雨模様の球場でおこなったCSで横浜ベイスターズ」が阪神タイガースを破った理由や,長引くデフレ不況のもとでIT企業が多数躍進した理由などは,この「中程度攪乱仮説」できわめてクリアに説明することができる。前提条件を読者が自分なりに斟酌したうえで,分析の道具として用いるのには有用な知見が多数述べられている。</div>
</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-48988829274532056012014-11-25T20:03:00.000+09:002014-11-25T20:03:13.457+09:00転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する年金の話(SB新書)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
<a href="http://1.bp.blogspot.com/-7V3gSyAG0yQ/VHRgU3KiEgI/AAAAAAAAItM/Q5V8VwCNV3k/s1600/%E8%BB%A2%E8%81%B7%E3%81%97%E3%81%9F%E3%82%8A.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://1.bp.blogspot.com/-7V3gSyAG0yQ/VHRgU3KiEgI/AAAAAAAAItM/Q5V8VwCNV3k/s1600/%E8%BB%A2%E8%81%B7%E3%81%97%E3%81%9F%E3%82%8A.jpg" /></a></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
著者:浜田裕也 出版社:SBクリエイティブ 発行年:2014年7月25日 価格:本体価格730円</div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
年金の話はだいたい難しい。しかし、この本はタイトルの長さとは裏腹にコンパクトな説明と身近に即したテーマ割で非常に読みやすい。読者のそれぞれの立場を想定して年金の説明がなされているので、場合によっては重複した内容もあるが、それを差し引いても730円でこの内容はお買い得だろう。第一、消費税が10%になったときには受給資格が加入年数10年に短縮されるなんでこの本を読むまでは知らなかった。</div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: left;">
「内縁」の妻でも年金が受給できる「可能性」があるなど、いろいろ役立つ話が満載なので、年金が心配な人はこの本を読んでから社会保険労務士の先生にアドバイスを求めるというのが効果的かもしれない。</div>
</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-60753313970344252252013-10-14T23:36:00.001+09:002013-10-14T23:36:53.353+09:00国語教科書の闇(新潮社)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://3.bp.blogspot.com/-KZG_1UKv4Qg/Ulv9AVVCF6I/AAAAAAAAHQM/IgRGx2uh3AE/s1600/%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8%E3%81%AE%E9%97%87.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://3.bp.blogspot.com/-KZG_1UKv4Qg/Ulv9AVVCF6I/AAAAAAAAHQM/IgRGx2uh3AE/s1600/%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8%E3%81%AE%E9%97%87.jpg" /></a></div>
著者:川島 幸希 出版社:新潮社 発行年:2013年 本体価格:680円<br />
国語教科書の題材が画一化してきている。たとえば芥川龍之介の「羅生門」,夏目漱石の「こころ」,森鴎外の「舞姫」などはほとんどの現代国語の教科書で取り上げられている。それはなぜなのか。そしてそうした教材の定番化に問題はないのかを検討したのがこの新書である。<br />
キーボードの配列方法は昔のタイプライターの配列がそのまま21世紀のパソコンに引き継がれてきたもの…というのが有名だが,国語の定番教材も戦後同じようなプロセスを経て、デファクトスタンダード化してきたものらしい。それで「是」とするわけでなく、もっと良い教材があるのではないか、という著者の指摘はもっともだ。ただその一方で大江健三郎や村上春樹の文体や文章構成が「現代国語」の試験に非常に馴染みにくいのも事実である。現状はこの3作品で保険をかけつつ、徐々に題材を入れ替えて、たとえば「舞姫」の代わりに「高瀬舟」を取り上げるといった試みをしていくのがおそらく現実に妥当するだろう。<br />
著者が「画一化」の要因として指摘しているのは①著作権の問題②豊富な副教材や過去の授業の実践事例の存在③指導資料の充実といった点である。原典が同じであれば文部科学省の検定意見も類似したものが多くなるだろうから、その意味では定番教材は「保険」にもなりうる。芥川龍之介の小説が検定教科書に登場しはじめたのは大正中期で、芥川自身が「近代日本文藝読本」という国語教育の編集作業に携わっていたらしい(本書52ページ)。芥川自身は「羅生門」ではなく「トロッコ」をこの副教材に入れていた。戦前には「羅生門」は国語教育の題材としては取り上げられることは少なく、著者はそれを「日本の国体や美風」を記し,国民性を発揮するものとしては「羅生門」はふさわしくなかったのではないか、との推論を述べている。本書の中盤は過去の国語の教科書や副教材の歴史を綿密に調査した結果で占められている。これがまた非常に面白い。<br />
おもえば検定教科書といえば「世界史」「日本史」など歴史関係の教科書に議論が集中していたが,前学習指導要領では「算数」「数学」「理科」が、そしてこの新書では「国語」がこうして話題になっている。「教科書なんで読まないよ」という学生は多いと思われるが、それでも国民共通の文化の下地になりうるのが検定教科書と考えれば、その重要性をここで新書で検討しておくことには意義がある。また同様に教材の定番化や画一化が現代国語のみならず他の教科でも進行している可能性があることも留意しておきたい。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-24835909787574624312013-09-17T23:03:00.001+09:002013-09-17T23:03:55.485+09:00知的文章とプレゼンテーション(中央公論新社)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://1.bp.blogspot.com/-RPKxq1yzpuM/UjhevoPHhtI/AAAAAAAAHOU/EcbKWlicaCM/s1600/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E6%96%87%E7%AB%A0%E3%81%A8%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://1.bp.blogspot.com/-RPKxq1yzpuM/UjhevoPHhtI/AAAAAAAAHOU/EcbKWlicaCM/s1600/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E6%96%87%E7%AB%A0%E3%81%A8%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3.jpg" /></a></div>
著者:黒木登志夫 出版社:中央公論新社 発行年:2011年 本体価格:800円<br />
わかりやすくて論理的で、しかも一定の読者層に受け入れられる本は,手にとった段階ですでにスタイリッシュだ。中央公論新社の新書は全て同じデザインなのに、やはり書店の本棚にあるときから、一味違う。<br />
第一に「超整理法」「理系のための作文技術」といった名著の内容をふまえて著述されているので、21世紀にふさわしい新しい文章論が展開されている。しかも既存の議論もふまえたうえでの新しい内容だ。<br />
第二に医学系論文の審査にたずさわってきた著者の文章論なので,文章を書くうえで陥りやすい「わかりにくさ」「過ち」が指摘されている。<br />
第三に英語によるプレゼンテーションや論文執筆の経験から、日本語による論理展開を国際標準でとらえることができる。日本語特有の文章論だと、「てにおはの使い方」や「接続詞の使い方」といった文法論から書き起こす必要もでてくるが、この本で重視されているのは「言いたいこと」をいかに簡潔明瞭に著述していくべきかといった技術論だ。名文を書くのには一定の修練が必要になる。しかしわかりやすい文章を書くという技術論であれば新書を読むことで習得することは十分可能だ。<br />
「近代的な論理展開」の世界だとやはり因果関係や結論の導出方法はかなり重要になる。ビジネス文書の枠組み以外に,論文執筆やあるいはこうしたブログであっても、論理展開が重要な場面がある。一回読んですぐ試行できる内容や、章ごとにまとめられた箇条書きの要約が嬉しい。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-72361095353966577312013-08-21T23:21:00.000+09:002013-08-21T23:21:04.901+09:00スタバではグランデを買え!(筑摩書房)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://4.bp.blogspot.com/-mCIwLd7zxos/UhTKCgWNkjI/AAAAAAAAHNw/V-pRpICgna8/s1600/sutaba.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/-mCIwLd7zxos/UhTKCgWNkjI/AAAAAAAAHNw/V-pRpICgna8/s1600/sutaba.jpg" /></a></div>
著者:吉本佳生 出版社:筑摩書房 発行年:2012年(文庫本) 本体価格:680円(文庫本)<br />
「価格戦略」をミクロ経済学の視点から解き明かした書籍。タイトルは「スタバではグランデを買え!」となっているのだが、これはミクロ経済学的には限界収入と限界費用の関係のお話だと個人的には解した。企業にとっては、限界費用と限界収入が一致する点で供給をおこなうのがベストの選択となる。その結論をコーヒーショップの価格戦略にあてはめて見事に解き明かす「語り口」が素晴らしい。<br />
ペットボトルのお茶の価格差異やテレビやデジカメの価格の低下傾向、100円ショップの安さの秘密といった話題をときには物流による品揃え機能(消費者にとっては取引コスト)や平均費用の概念で解説し、経済学だけではなく流通やマーケティング的な考え方も学べる。<br />
素材としてはやや古いテーマがあってもその考え方自体は、現実のさまざまな場面で応用がきく。たとえば、デジカメやテレビの価格戦略は、単行本による新刊を一定期間後に文庫本化し、さらに将来的には電子書籍化して広告料のみ徴収するといった価格戦略についてもあてはまるし、夜間電力料金と日中の電力料金の差はそのまま価格差別の議論があてはまる。書籍についても学生割引などがあってもいいのかもしれないなど、価格というのは考え出すといろいろ深いアイディアがわいてくる。<br />
この著者の吉本先生はもともとは某都市銀行に勤務されていた方。別の書籍では「仕組み債」や「外貨建て定期預金」の商品としての欠陥が指摘されており、非常に役立った。この本も読みやすい文章で深い考えが紹介されているので、これまで「価格」に興味がなかった人にも役立つことが多いだろう。グラフがかなり豊富に掲載されている点にも好感がもてる。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-30264140301075213372013-08-05T23:34:00.002+09:002013-08-05T23:34:50.361+09:00ジーン・ワルツ(新潮社)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://4.bp.blogspot.com/-WfX5BV0z01U/Uf-y0tsSpgI/AAAAAAAAEeg/S_YDj3P-5tc/s1600/%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%AF%E3%83%AB%E3%83%84.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/-WfX5BV0z01U/Uf-y0tsSpgI/AAAAAAAAEeg/S_YDj3P-5tc/s1600/%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%AF%E3%83%AB%E3%83%84.jpg" /></a></div>
著者:海堂尊 出版社:新潮社 発行年:2010年(文庫本) 本体価格:520円<br />
官僚を多数生み出す「帝華大学医学部」に務める曽根崎助教は、顕微鏡下体外受精を専門とし、講義のかたわら、新研修医制度や産婦人科希望の医者が激減した影響で閉院間近となっているマリアクリニックで診察もおこなっていた。そこに受診に訪れた5人の女性は,いずれも大きな問題を抱えていた‥。<br />
いわゆる「代理母」や新研修医制度による地域医療の衰退、産婦人科で実際に発生した医療事故をめぐる逮捕などをおりまぜつつ、「物語」はミステリー仕立ての見事な結末を迎える。しばしば、厚生労働省や日本産科婦人科学会などには批判的な意見を主人公が述べるが、確かに現場で妊婦を診察している医者と行政にたずさわる官僚とでは意見やものの見方が大きく異なってくるのはやむをえない面がある。この「行政の倫理」と「現場の医者の倫理」の対立点がまさしくこの物語の結末につながっていく。読者によっては、医療の論理に肩入れするケースもあるだろうし、逆にまた厚生労働省の論理にも一理も二里もあることは認めざるを得ない場面もでてくるだろう。私個人は、自分の目の前に代理出産を希望する人間がいないこともあるが、行政や司法の論理にもそれなりに尊重するべき部分が多いだろう、という立場だ。<br />
日本の場合、生物学的親子関係が法律的親子関係には必ずしもならない。代理懐胎そのものが国内では認められていないこともあって、最近はインドなど海外で代理懐胎をおこなうケースが増えているようだ。しかしその場合でも国内法では、生まれた子供の母親は「分ぺん」の事実によって判断される。これ、意外に非人情に聞こえそうだが、法律的親子関係を一義的に決めておかないと、遺産相続の問題や親権の問題などが確定できなくなるというデメリットがある。「子供が欲しいから代理懐胎した」というケースであっても、その後育児放棄や離婚などによって子供の帰属が宙にうくということも起こりかねない(いや、実際に発生している可能性がある)。遺伝子的に親子関係であっても、法律で「分ぺん」という事実関係以上に踏み込んで親子関係を認めていくには、まだまだ社会の基盤は未整備だ。もちろん未整備のままでいいわけではなく、遺伝子的親子関係を戸籍法などでも認めるならば、「代理母」と子供の関係や子供の養育義務をおう親権の中身をもっと厳密に定義するべきだろう。<br />
重たいテーマを扱っているにもかかわらず読後感は意外に軽い。主人公が重たい過去を引きずりつつもけっこう強気で前向きに、そしてしたたかに生きているせいか。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-8504649956131050262013-08-05T00:30:00.000+09:002013-08-05T00:30:32.131+09:00ファイアボールブルース(文藝春秋)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://3.bp.blogspot.com/-tBja9iwmUr4/Uf5xgRCvFvI/AAAAAAAAEeQ/nFrw70OmVoM/s1600/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B9.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" height="320" src="http://3.bp.blogspot.com/-tBja9iwmUr4/Uf5xgRCvFvI/AAAAAAAAEeQ/nFrw70OmVoM/s320/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B9.jpg" width="220" /></a></div>
著者:桐野夏生 出版社:文藝春秋 発行年:1998年 本体価格:476円<br />
舞台は弱小女子プロレス会社。巡業と練習のはざまで突如発生する身元不明の殺人事件。看板プロレスラー火渡、通称ファイアボールがなぜかこの殺人事件に興味を示し、真相を探り出そうとする‥。種も仕掛けもわりと日常的でかつ平凡な組み合わせだが、プロレスに独自の哲学をもつ火渡がその哲学に即して生きようとして殺人事件の種明かしに至る自然なプロセスが見事。桐野夏生の作品は突如物語がダークサイドに転がって読後感が微妙なものになることもあるが、この作品に関してはそれもなし。でもこれ、「2」もあるから油断もできないが。<br />
主人公の「火渡」のプロレスに対する哲学は、作者の小説に対する「哲学」にオーバーラップする。「違うね。プロレスってのはいくらでも自分で変えていけるんだ。どうしてかっていうと、自分が作るものだからだよ。だけど団体が小さくて序列ができると決まりきったショウを作るしかなくなる。あたしはそれがいやなんだ。‥プロレスは全人格的なものだってことさ」は、プロレスをそのまま小説に置き換えれば通じるものだろう。ある種の「筋」に準じて女子プロレスの世界でいき、その筋に準じてゆ行方不明のプロレスラーを追いかける。なんだかむちゃくちゃこの主人公、かっこいい。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-67809322345335340352013-07-30T23:20:00.000+09:002013-07-30T23:20:00.180+09:00何のために働くのか(文藝春秋)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://2.bp.blogspot.com/-C5KNJCuflvw/UffJDlS_n2I/AAAAAAAAEd4/6--DQd1xdUA/s1600/%E4%BD%95%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB%E5%83%8D%E3%81%8F%E3%81%AE%E3%81%8B.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://2.bp.blogspot.com/-C5KNJCuflvw/UffJDlS_n2I/AAAAAAAAEd4/6--DQd1xdUA/s1600/%E4%BD%95%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB%E5%83%8D%E3%81%8F%E3%81%AE%E3%81%8B.jpg" /></a></div>
著者:寺島実郎 出版社:文藝春秋 発行年:2013年 本体価格:750円<br />
何のために働くのか‥というテーマとともに連想するのは、今年引退を決めた中日ドラゴンズの山崎選手や山本投手など、ボロボロになってもユニフォームを脱がなかった(脱がない)選手である。もうすでに食べていくのには困らないほどの蓄えはあるだろうし、功なり名なり遂げている選手だ。山崎選手はもし楽天ゴールデンイーグルスのときに現場を去っていたらコーチから将来の楽天の監督候補の道筋もあったはずだが、あえて現場にこだわった。<br />
この本では「働く」ということについて、給与(賃金)を得るという意味での「稼ぎ」、社会的責任や貢献をおこなうという意味での「ツトメ」という言葉で働くということの意味を説明している。まあ、そうした「ツトメ」と「稼ぎ」の間に微妙なグレーゾーンや当初の目的とは異なる偶然の要素などもあり、意外に人間の人生はふらふらあっちいったりこっちいったりの繰り返しとなるが、そうした偶然との戯れこそ、また「ツトメ」の意義深いところである。当初想定した社会的環境は時間の経過とともに変化していく。社会的環境が変化すれば、自ずと「稼ぎ」も「ツトメ」も変化していく。著者自身が三井物産を辞めようとして辞めずにブルックリン研究所などに派遣されたりするのだが、2年~3年で社会が変化する今、著者の過ごしたキャリア人生よりももっと変化の激しい時代に今の学生は身を置くことになるのだろう。必ずしもこの新書の内容は体系だった構成にはなっておらず、ページによってはまったくテーマから逸脱した原発問題などが語られていたりする点で、読みにくい。しかしこの読みにくさは、著者が考える「働く」という言葉の意味の奥ぶかさと変化の激しさを表しているとも思えなくはない。簡単に結論が出る内容ではないが、「素心」という言葉が心に残る。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-71687891483251349882013-07-29T23:52:00.001+09:002013-07-29T23:52:19.344+09:00多読術(筑摩書房)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://4.bp.blogspot.com/-PPNRLRNDFB8/UfZ-qgcQsdI/AAAAAAAAEdo/PZqhLe9KeXw/s1600/%E5%A4%9A%E8%AA%AD%E8%A1%93.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/-PPNRLRNDFB8/UfZ-qgcQsdI/AAAAAAAAEdo/PZqhLe9KeXw/s1600/%E5%A4%9A%E8%AA%AD%E8%A1%93.jpg" /></a></div>
著者:松岡正剛 出版社:筑摩書房 発行年:2009年 本体価格:800円<br />
2009年の初版4刷の書籍だが、この本が水道橋にある丸善の書棚に新刊とまざって棚差しになっていた。手にとってみるとなんだか面白い。そしてこの1冊の本を読んでいくうちに、自分がこれまで読んできた本の記憶が次々と連想されていくという妙な気分を味わうことになる。それはもしかすると千代田区にある富士見ヶ丘教会という自分自身もよくみる教会の話がでてきたり、舞台で証明をやりたかったという筆者の経験に親近感をいだいたせいかもしれない。あくまで個人的な筆者の体験や考え方が、そのまま自分の頭の中にコピーされて、さらにそこから色々な書籍にハイパーリンクが貼られていく感覚だ。一冊一冊を丹念に読み解くだけが読書ではない、速読が精読よりも「読む」ことに近い‥といった趣旨の話が書いてあるのを読むと、普段から「書籍ってインターネットに似ている部分があるなあ」と感じていたことがそのまま文章化されているような気持ちがする。いわゆるビジネスパーソン向けの「読書法」とは対極的な内容ではあるが、逆にビジネスに関連づけてこの本を読むことだって可能だ。<br />
この本で特に注目というと、やはり98ページから展開されている「編集工学」の著者自らの解説だろう。「意味の交換」のためにおこなわれる編集行為がコミュニケーションだ、とし、そこからマッピングや年表の作成といった具体的な話にまで著述が広がるが、ここまで壮大な話をコンパクトに98ページから119ページという約20ページに「編集」して文章を書いてくれているのだから、この新書という形態と著者の力量、そして筑摩書房の編集者の感性がすごい。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-44189836250711637662013-07-28T22:50:00.000+09:002013-07-28T22:50:03.558+09:00ワーキングプア(ポプラ社)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://1.bp.blogspot.com/-nOw33sJN2L0/UfUe-KO9kgI/AAAAAAAAEdY/JCWWxMxP0TQ/s1600/%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%97%E3%82%A2.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://1.bp.blogspot.com/-nOw33sJN2L0/UfUe-KO9kgI/AAAAAAAAEdY/JCWWxMxP0TQ/s1600/%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%97%E3%82%A2.jpg" /></a></div>
著者 NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班 出版社:ポプラ社 発行年:2010年(文庫版)<br />
アベノミクスとよばれる巨大な金融緩和政策と財政出動、そして抽象的ではあるが成長戦略の骨子が公表されて数ヶ月。株価はあがり、円安による影響もあって物価は上昇しつつある。それでもなお、先行きがみえないのが、賃上げや有効求人倍率の上昇といった労務関係の動向だ。<br />
本来であれば日本は少子化になるのだから人件費は供給される人口が減少していくほど一人あたりの賃金は上昇するのが筋だ。それがそうならないのは、ひとつには企業内部の資金が適正に配分されていないため、どうしても若年層への配分が小さくなる、非正規雇用契約の労働者の増加、海外からの労働力の流入といった要因がある。この本でも、岐阜県の繊維産業で活用される中国人留学生のエピソードと留学生の活用によって日本人労働者や会社の経営が苦しくなる様子や、ホームレス化する若者のエピソードが紹介されている。昭和初期の貧困とは、やはり今の貧困は様子がどうも違う。たとえ正社員であっても「ほんのちょっとしたこと」(離婚や整理解雇、会社の破産など)でワーキングプアに転落しかねないのが今の現実で、そうしたリスクを支える社会のセーフティネットはまだまだ不十分。というよりも失業保険の支給期間なども短縮化され生活保護の給付内容も厳しく制限される傾向にあるなか、この平成大不況をきっかけにワーキングプアにいったん転落すると次の世代にもその「貧困」が継承されかねない危険もはらむ。「貧困をどうするか」について景気の拡大をめざすのであればやはり金融政策や財政政策の運用ということになるが、もうひとつは社会保障費の支出内容を洗い出して、削減するだけではなく、効果的な運用という具体的な「中身」の選別も必要になるだろう。たんに企業の収益が拡大しただけでは、「真面目に働いても報われない」といったワーキングプアの問題は解決できる要素が少ない。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-82407394071903221142013-07-09T23:48:00.000+09:002013-07-09T23:48:14.148+09:00国際会計基準はどこへ行くのか(時事通信社)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://3.bp.blogspot.com/-17MqVeQ5HHY/Udwfsi4urvI/AAAAAAAAEcs/gDm-Of1iqZw/s1600/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%9F%BA%E6%BA%96%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%B8%E8%A1%8C%E3%81%8F%E3%81%AE%E3%81%8B.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://3.bp.blogspot.com/-17MqVeQ5HHY/Udwfsi4urvI/AAAAAAAAEcs/gDm-Of1iqZw/s1600/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%9F%BA%E6%BA%96%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%B8%E8%A1%8C%E3%81%8F%E3%81%AE%E3%81%8B.jpg" /></a></div>
著者:田中 弘 出版社:時事通信社 発行年:2010年 本体価格:2000円<br />
国際会計基準(IAS)あるいは国際財務報告基準(IFRS)については、2009年ごろは5~6年でアメリカや日本も含む世界統一基準になるはずだった。しかしアメリカはその後もFASB(米国財務報告基準)を維持し、日本もまた企業会計基準委員会から公表される会計基準を原則とし、国際会計基準はあくまで一部の上場企業について容認されているのみだ。著者はアメリカがなぜFASBを放棄しないのか、その理由を会計政策の面から分析し、日本についても独自の会計基準を維持しつつ、国際的な調和を図る方法がベストな方策だったことを明らかにする。そのうえで国際会計基準に定められている離脱規定(カーブ・アウト)を活用する利点や製造業にとって有意義な取得原価主義会計の活用を提言する。<br />
著者の力作であるが、読みながら、アメリカと欧州、そして日本の文化の違いに思いが至る。国際会計基準はもともとは英国に端を発してその後EU域内の統一基準として活用されることが当初の目標だった。したがって、地域の文化や歴史などを重視した原則主義をとる。一方、アメリカはその欧州からカルヴァン主義の影響を受けた清教徒の文化の流れをくむ。「天は自ら助く者を助く」という格言があてはまる自力救済の文化だ。そうした文化では詳細かつ厳密な会計基準が妥当し、FASBは厚さ数十センチというとんでもない分量の会計基準となる。それでは日本はどうかというと、アメリカよりもむしろ欧州のような農耕文化をベースとした歴史、地域、コミュニティを重視する社会だ。そうした文化ではFASBのような詳細な会計基準よりも原則主義の国際会計基準でなおかつ曖昧な規定が残っているほうがかえってうまくいく面がある。その意味では、国際会計基準に大きな影響を与えているアメリカに対して批判的なフランスなどとむしろ協調がとりやすい面がある。<br />
2010年発行の書籍だが、現在でもなお、アメリカはFASBを維持して、日本は国際会計基準の強制適用の時期を送らせ、むしろその一歩手前で金融庁による暫定的な会計基準の作成が新聞で報道されたばかり。国際会計基準と日本基準の「中間」をどこに求めるかだが、少なくとも数年前の急速に国際会計基準を導入するという方向から、スピードダウンしたことは、幸いだったのかもしれない。この国際会計基準については理論的に正しいかどうかという視点以外に、政治的に有利か不利かといった問題もはらんでいる。農耕文化の国家らしく、ここは国内の会計基準と国際会計基準の彼岸を分析し、日本から逆に国際会計基準に提言すべき論点などをまとめるにはいい機会かもしれない。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-32257034416100194382013-07-02T00:06:00.002+09:002013-07-02T00:06:39.103+09:00トーキョー無職日記(飛鳥新社)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://1.bp.blogspot.com/-XglgC5WL_lM/UdGK8f3IDlI/AAAAAAAAEcY/GGyF1XgQi9o/s250/%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%A7%E3%83%BC%E7%84%A1%E8%81%B7%E6%97%A5%E8%A8%98.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://1.bp.blogspot.com/-XglgC5WL_lM/UdGK8f3IDlI/AAAAAAAAEcY/GGyF1XgQi9o/s250/%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%A7%E3%83%BC%E7%84%A1%E8%81%B7%E6%97%A5%E8%A8%98.jpg" /></a></div>
著者:トリバタケ ハルノブ 出版社:飛鳥新社 発行年:2009年 本体価格:952円<br />
著者の実際の体験を「脱構築」して作り上げた大学中退後に無職の生活をへて、20代後半からようやく働き始める「おれ」を4コマ漫画で描く。ここで描かれる「ニート」の生活は、おそらく著者が1975年生まれということと無関係ではあるまい。1980年代後半のまだバブル経済の余韻が残るころでは、「フリー」「アルバイター」という言葉はむしろ自由な人生を切り開く積極的な意味を持っていた。それがネガティブなイメージに転換するのは、1990年代後半ぐらいからではなかろうか。で、多くの場合、「ニート」が自宅から一歩足を踏み出してからの世間の風は厳しい「はず」だが、この漫画では意外や意外、周囲の人は暖かい。<br />
「ふつう」、家にひきこもって人間不信で社会人生活もろくにおくっていない人間が、働き始まると、そこでコミュニケーション不全を起こして再び元の生活にもどるか、あるいは無味乾燥な労働再生産のサイクルに落ち込むはずだが、この漫画では、というかこの作者はそうなっていない。いろいろな理由があるだろうが、ひとつは「作者」が作成したホームページから始まるネットワークの存在がある。<br />
これ、本当の意味での引きこもりには入手できないアイテムで、「ニート」「ダメ人間」と自嘲するわりには、オフ会でそれぞれの人生観を語り合ったり、自分のダメっぷりを暴露したりと、非公式のネットワークが「作者」を支える。出来すぎともいえようが、このネットワークがあるかないかは、そのまま引きこもっているかどうかを分ける大きな分岐点になりうる。作者もあとがきで「ご都合主義かも‥」と書いているが、試行錯誤のすえに漫画家として「成功」できたのは、おそらく利害関係がほとんどないネットワークの力ゆえであろう。<br />
世相を反映して殺伐とした漫画が多い現在、珍しいほど結末が明るい漫画だ。ちょっとした身のまわりにある「幸せ」を再発見するにも、いい内容だと思う。画力のなさ加減がまたリアリティがあってよい。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8617116314866253303.post-25036186492355477232013-06-27T22:40:00.000+09:002013-07-01T22:56:42.799+09:00犯罪者はどこに目をつけているか(新潮社)<div dir="ltr" style="text-align: left;" trbidi="on">
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://4.bp.blogspot.com/-XTWR6u6sNPk/Ucw90ZB2iaI/AAAAAAAAEcI/ER3ZCuf8Csg/s250/%E7%8A%AF%E7%BD%AA%E8%80%85%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%AB%EF%BC%92.jpg" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/-XTWR6u6sNPk/Ucw90ZB2iaI/AAAAAAAAEcI/ER3ZCuf8Csg/s250/%E7%8A%AF%E7%BD%AA%E8%80%85%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%AB%EF%BC%92.jpg" /></a></div>
著者:清永賢二 清永奈穂 出版社:新潮社 発行年:2012年 本体価格:700円<br />
著者は元警察庁犯罪予防研究室などに勤務されていた警察官。いわゆる犯罪心理学といったような理論的アプローチからではなく、犯行現場や実際の犯罪者への聞き取り調査などから犯罪の予防を考えていく手法をとる。本書が出版される理由のひとつに2000年の地方自治法改正により、地域主権の概念が強まったことがあげられている。逆に言うと防犯体制なども地方自治体に委ねられる部分が増えてきたということもでもある。<br />
内容としては一般市民の生活に役立つ視点やノウハウが数多く紹介されており、地域の防犯体制や生活防衛に役立つ著述が少なくない。最近ウェブなどで、下校・登校途中の生徒からの「通報」が紹介されているが、「犯罪行動は空間距離によって変化する」という著者の視点からすれば、たとえそれが「得体のしれない一言」であっても警戒すべき対象となる。元犯罪者の証言によればだいたい「標的」の半径20メートルの近隣空間が実行決定段階ということだから、「わけわからない人」が自分の20メートル以内に入ってきた段階で、要注意するべき対象ということになる。必ずしも変な人のすべてが犯罪者ではないにしても、その可能性はあるという言い回しで著者は注意を喚起する。生活防衛としては盗難などを「やりにくくする」体制を近所や自分で構築することがあげられており、それは防犯システム以外に「声かけ」やゴミだし、清潔な町並みといった「雰囲気」で醸し出すことができるという。最後に著者は「犯罪基本法」的な努力義務を定めた基本法の制定を提唱。案外まだまだ日本は防犯意識が薄い国なので、そうした基本法の制定は確かに効果があるかもしれない。都市計画というか道路の接合状態や町並みと表通りの関係なども防犯に関係してくるので、そうした基本法によって建築基準法や都市計画法といった関連法規にも防犯の意識が浸透していく可能性がある。具体的かつ実践的な内容で、特に犯罪に興味がない人にとっても読みやすく「実利」がある。</div>
giehttp://www.blogger.com/profile/01082629163765178817noreply@blogger.com0