2012年12月16日日曜日

シェア(NHK出版)

著者:レイチェル・ボッツマン ルー・ロジャース 出版社:NHK出版 発行年:2010年 本体価格:1900円
 ず~っと「積ん読」だけだった本だが、実際に手にとってみると非常に面白く一気読み。すでに家や車はシェア(共有)して利用する世代が増えてきたし、ある意味介護施設などはすでに「建物」「介護サービス」などのシェアとなっている。超高齢社会で、しかも核家族化が進行していくとなると、介護問題などはシェアの発想で乗り切るのが、少なくともコスト面などでは合理的な気がする。
 そしてソーシャルゲームなどでもコミュニティというキーワードが見え隠れしていたが、このシェアという概念もコミュニティと密接な関係をもっているようだ。ホテル代わりに自宅の一部をレンタルするという発想も、一定の利用回数をへれば利用者たちがコミュニティとなっていくのは想像がつく。というよりもフェイスブックも、また勢いが急速に減退しているmixiなどもコミュニティづくりの道具としての利用価値が高かった。環境負荷を軽減して、しかも所有ではなく利用に重点を置くシェアは、今後想像もつかない形で日常生活に浸透していくのかもしれない(すでにこの本の執筆もシェアによって行われているようだ)。ハードウェアのシェアはわりと企業レベルでは機械設備や工場の共有という形でおこなわれているが、ソフトウェアの部分、特にこれまで知的生産に属するとされてきた音楽や文学、学術論文などもシェアによって、さらに独創的なアウトプットが生まれてくるかもしれない。

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