2007年10月1日月曜日

仕事師たちの平成裏起業

著者名 ;溝口敦 発行年(西暦);2007 出版社;小学館
 裏社会のルポなどで知られる有名な著者によるノンフィクション。警察の警備もはりついているというが、どうしてこんな詳細な取材が可能なのか驚嘆に値するほどの力作。2004年に単行本になったものを早くも文庫化したものだが、このデジタル社会ではやはり2年の月日はいくつかのネットビジネスをも淘汰するには充分な月日が流れたようだ。ただし、序章におけるビジネスを人任せにしないとかリスクの分散、勉強の必要性といったスキルには目をみはるものがある。弱肉強食の裏社会でそれなりに合法性をえてしかも回収可能な売上をあげることの大変さを知るがこれをさらに実生活に応用していくことも充分できるのではないかとも思った。

SEの職場

著者名;きみたりゅうじ 発行年(西暦);2003  出版社;技術評論社
 元SEの筆者がおくるコミカルな漫画をまじえたSEの仕事の上司・部下論。「好奇心はなによりの宝」「上司とは使われるものではない、使うためのものなのだ」「自分のキャリアパスは自分で描く」…といったかなりまっとうな意見を、実際に存在下であろう上司や部下の「様態」から導出していく…。タイトルがSEとなっているが、実際には他の業種にもあてはまるような事例ばかり。「人月」という言葉を「こういう風にして使うのか」と基本情報技術者の勉強にも役立つようなエピソードもあり。要求定義について「なるほど」と思ったのは筆者の前著に相当するわけだが、専門的な用語も実際の業務の「言葉の使われ方」を知ってさらに納得することしきり。この手の本をさらに読んでみようという好奇心もわいてくる。

マンション買って部屋づくり

著者名 ;岸本葉子 発行年(西暦);2002 出版社;文藝春秋
 エッセイスト岸本葉子さんが「老後のことも考えて」と中古マンションを購入してからの悪戦奮闘ぶりをエッセイにまとめたもの。どうして筆者が「独身主義」を貫き始めたのかは不明だが、一人で生活していくためには貸借アパートでは無理、と判断したことからの行動だそうな。おそらく区分所有法や宅建の知識なども皆無に等しいはずだったのにエッセイのラストには「経年劣化」などという言葉もでてきて管理組合の役員からマンションのリフォームまで本当に大変だったのではないかと思う。収納問題など特に書籍に関する収納については悩みは同じ。3LDKのマンションを自分流に育てていくプロセスがかっこいい。

ナマケモノお父さんの勉強術

著者名 ;和田秀樹 発行年(西暦);2006  出版社;新講社
 自分はおそらく「和田オタク」とよばれる「和田秀樹先生のファン」だと思うのだが、どうしてこういつもいつも和田秀樹さんの本を買うのかというと、おそらく「叱咤激励」を新刊からいつも受けているからではないかと思う。正直いってタイトルのバリエーションほど中身の多様性があるというわけでもないのだが、こう手をかえ品をかえて「勉強しろ」といわれると、「はい、勉強します」といわざるをえない状況になってくる。和田さんの本を書店でちらちら見る程度であれば、「叱咤激励」は受けないが、本棚のかなり多くを占めるようになってくると、「おそらく今回も勉強しろ」といわれるのだろうな、とある程度認識しつつ、「やる気落ちているからまた今度の新刊を読んで勉強する気になろう」という動機で本を読む…。一種の自己確認と動機付けなんだと思う。で、「ナマケモノ」の自分はやはりこの本を読んで、「もっと頑張らないと…」とさらに奮励努力を誓うことになる…。

四十になるって、どんなこと?

著者名 ;岸本葉子 発行年(西暦);2003  出版社;講談社
 腰痛に悩まされつつも「四十」という時代を軽やかに、したたかに生きる筆者の姿勢がすごい。結婚の可能性を否定しているわけではないらしいが(というよりもこんな素敵な生き方をしている筆者はとても人気があると思うのだが)、あくまでシングルライフを強靭に楽しんでいこうというライフスタイルが強烈で、これがまたできそうでできない生き方なのだと思う。私はまだ「四十」ではないけれど、ここまで「独り」あるいは「個」というものに強くこだわりつつ、さらにエッセイに書ける人ってとてつもない精神力がないと無理なんだと思う。肩が張っている様子をまったくみせない自然体に逆に人生の凄さを感じさせてくれる1冊。

風俗の人たち

著者名 ;永沢光雄 発行年(西暦);1997  出版社;筑摩書房
 インタビューの名手とされた筆者が注目されたのはこの前作の「AV女優」でこの筑摩書房からの単行本も出版された当時絶賛を浴びた。当時からいくつか内容を拾い読みしていたのだが、年末年始を機会に一気に読み通す。正直いって終始暗い内容で、人間の「金」と「性」のどろどろした部分や公に語られることのない部分をざっくり切り取って提示。しかもインタビュー主体にここまで人間模様がにじみ出てくるのだからやはり筆者の名インタビューぶりが絶賛されるのも無理はない。自然体でのぞんでいるようにみえて、実はその後の文章の「練り」にも一工夫あったのではないかと思えるふしもある。90年代日本はおそらく21世紀の日本と連続してつづく土壌を抱えている。10年前のルポとはいっても古びた感じがしないのは、同じ人間が手をかえて品をかえて同じことをこれからまた「反復」しようとしているからなのかもしれない。同じようなルポはたくさんあれど、一種の哀愁がにじみ出てくるようなルポっていうとやはりこの1冊になるだろうか。

バカとは何か

著者名 ;和田秀樹 発行年(西暦);2006 出版社;幻冬舎
 威張る人はなぜ馬鹿にみえるのか…といった魅力的なテーマを紹介してくれる新書。これまでの和田秀樹氏の持論に加えて、「バカ」という言葉を精神医学的に分析し、治療が必要なレベルの場合には「病気」としてバカ云々の呼称はやめて、そうでなないレベルでの日常生活に破綻をきたせかねない水準内でバカとリコウの二分類を、そしてリコウはともすればバカを「利用」して「ワルイコト」をしかねない、といった議論まで展開してくれる。また実践というか試行していろいろ失敗をしてみるということも提唱。これまでの持論をちょっとさらに応用して、さらに新書で読みやすい価格でまとめたもの、といえるかもしれない。