2017年11月5日日曜日

「残酷過ぎる成功法則」(飛鳥新社)

著者:エリック・パーカー 出版社:飛鳥新社 発行年:2017年11月3日 本体価格:1,500円
 あとがきも含めて本文で366ページ,さらに巻末に30ページ以上の参考文献の出典リストが掲載されているので全体で400ぺーいを超える大部の本となる。理由は自己啓発本にありがちな「結論」や「思い込み」をエビデンス(証拠)をもとに検証しているためで,科学的知見を含めた出典を明示することで,読者は自分の実生活にある程度の客観性をもって有効活用できる構造となっている。おそらくは,日本でも多数出版されている自己啓発関連の書籍の多くが心理学やゲーム理論など数々の科学的知見をもとにした内容にこれから変化していくものと予測される。
 で,内容だが正直いって面白い。なにせ「楽観主義がいいのか悲観主義がいいのか」といった不毛な議論について,一定のエビデンスをもとに著者は結論を出してくれている。「ワーカホリックがいいのかワークライフバランスがいいのか」といった議論も納得のいく結論が出されているので,「本当かなあ,どうかなあ」といった疑問を抱きつつ本を閉じるといったことはない。で,おおむね結論は割と「平均的」かつ「日常の常識にてらして妥当」である。楽観主義ばかりではリスクを認識しないので破滅する,悲観主義は事態を正しく認識するが前向きにならない。だから適度にバランスをとろうということになるが,であればあまり自己啓発関連の書籍は読まなくてもそこそこうまく人生は運ぶような気もする。
 個人的に参考になったのは,困難な事象に直面したさいに「ゲーム性(娯楽性)を導入する」というアイデアだ。大きな目標を小さな目標に分割するのは誰でもやっていることだが,そこにゲーム性を持ち込むとさらに楽しさが倍増する。読み方は人それぞれだろうが,「どうも自己啓発系はうさんくさいなあ」と日ごろから思っている方には特におすすめの内容である。

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