2013年2月14日木曜日

実践ボトムアップ・マーケティング戦略(日本能率協会マネジメントセンター)

著者:アル・ライズ ジャック・トラウト 出版社:日本能率協会マネジメントセンター 発行年:2011年 本体価格:1800円
 「理論がさきか、実践が先か」というと、昔は「考えてから動いたほうが合理的じゃん」と考えていたが、最近では「動かなければわからないこともけっこう多い」と考えるようになってきた。この本では理論だけではなく、実際のものづくりや販売現場から生み出されてきた工夫や理論がそのままマーケティング戦略として成功した事例を取り扱っている。
 けっこう現場から理屈を立ち上げていくことの重要性以外に「ネーミングでは妥協してはならない」などといった「理屈」も最後には登場してくるのが興味深い。まあ意外に現場叩き上げの人ほど頑固で柔軟な対応性に欠けるといった側面もあるので、やはり理論と実践の中庸のバランスが一番大事なのかな、とも思う。また販売現場で手応えのある商品(書籍)はやはり数字でも動きが極めて良いことが多く、その逆はあまりないから、実践も理屈も目指すところはそれほど変わらないのだろう。戦略を実施したり組織を統括したりといったスキル面が書籍の後半を彩るがこれが面白い。計画はボトムアップで実行はトップダウンでという理屈の使い分けがまた叩き上げのマーケターである著者の面目躍如たるところか。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「実戦ボトムアップ・マーケティング戦略」を翻訳しました丸山です。

書評を書いていただき、ありがとうございます。

筆者のアル・ライズ/ジャック・トラウトはプラクティカルの観点からマーケティングの第一人者です。

学者の中には、彼らの著書がアカデミックではないとして評価しない先生もいますが、マーケティングとは机上の学問では決してありません。

実戦で機能して初めて評価がなされます。

「直接現場に出向き、市場のどろどろとした泥濘の中に自分自身をどっぷりと浸す」

現場に出向き、自分の目で見て体感し、インスピレーションを得てますか・・・

gie さんのコメント...

丸山先生、私の拙いブログにコメントをお寄せいただき、恐縮する次第です。「ポジショニング戦略」などを読んで以来、「有用な本」「視点を多角化してくれる本」としてアル・ライズやジャック・トラウトの名前を意識するようになりました。「現場」にあふれるさまざまな現象をわかりやすい理論に落とし込むのには、やはり類まれな才能が必要で、さらにそれを日本語に翻訳されるのも大変なお仕事ではなかったかと推察申し上げます。非常にわかりやすく、また日々の業務にも今後役立てて参りたいと存じます。ありがとうございます。