2007年12月12日水曜日

こころと体の対話~精神免疫学の世界~

著者名;神庭 重信  発行年(西暦);2000 出版社;文藝春秋  
 「病は気から」などという言葉がある。一種の迷信ともいえそうだが、これが統計学的にある程度実証されてくると免疫系等の低下と精神状況になんらかの相関関係があるとみても非科学的とはいえないだろう。重病というのは悲惨なものだし、人間はいつかは死ぬわけだが同じ環境にあっても助かるものと自滅する場合とがある。「夜と霧」とで早く死んだ人間は、クリスマスを経過することができなかった。
「一つの未来を、彼自身の未来を信じることができなかった人間は収容所で滅亡していった。未来を失うとともに彼はそのよりどころを失い、内的に崩壊し、身体的にも心理的にも転落したのだった」(「夜と霧」)
 一種の対象喪失に陥って免疫系等が低下する可能性をこの本では指摘している。やや医学用語が多いのが難点だが、人間は「証明するより信じたがる」という傾向があり、すべてをうのみにはもちろんできない。ただし同じ癌告知であっても生存率は前向きに治療に取り組んだ人間の方が高かったという統計が報告されている。これから、種々の免疫学と認知の問題は研究されていくのだろうが、少なくとも日本の民間療法もギリシアの伝説も前向きの効果を否定してはいない。

0 件のコメント: