2007年12月12日水曜日

脳を知りたい!

著者名 ;野村進  発行年(西暦);2001 出版社;新潮社  
 超早期教育についてはいろいろなところで語られている。効果がある人もいればいない人もいるが、その科学的実証からこの本は始まる。
 一種の「脅迫」で早期教育をしないと子ども将来性をだめにするというような話もあるが、そうした話には根拠はない。前半はどちらかといえば俗説の喝破と脳の「故障」について扱われ、その後は脳と視覚、脳と言葉、脳と意識、脳とアルツハイマーといった観点で著述される。特にアルツハイマーの患者が絵画の才能に目覚めるエピソードは感動的だ。環境ホルモンについても著述されており、きわめて刺激的な内容である。
 人間の脳科学自体にはまだもちろん謎は多いし自分が生きている間にその機能の全容は解明されないかもしれない。しかし自分自身がどういう機能や構造で人生についての意思決定をしようとしているのかは非常に興味がある。人間は環境の産物で、しかも自然科学に従属するだけのものなのかあるいはもっと神秘的な存在なのか。安易に宗教や超自然的なものに逃げ込むだけでなく、それを数式や論理で解明することに非常にスリリングなものを感じる。すばらしい本。

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