2007年12月16日日曜日

金融史がわかれば世界がわかる

著者名;倉都 康行 発行年(西暦);2005  出版社;ちくま新書
英国金融の興亡から金本位制度の解説。さらに米国が覇権を握ってから、変動為替制度の興亡さらにスワップなどの金融技術の仕組みの解説と、今後のアジア・ヨーロッパの金融動向などを概説する。新書タイプとはおもえない内容の充実度で下手な金融論の教科書を読むよりずっと面白い。著者は経済学と金融論はべつのものであるという立場で歴史的に過去をふりかえり、今後を概観するという態度だが、抑制された語り口と歴史的な考察、さらに金融の現場での実務をふまえた著述がきわめて興味深い。
 中国、そしてインドの今後の発達が日本を脅かす存在になることは間違いなく、数学教育や情報処理教育など、あるいは語学留学制度などは日本はかなり遅れている。それは1-年後あるいは20年後の日本の経済界や金融界に数学的能力の国際的に劣った人材の輩出をも意味する。もちろんこれから、実務経験などで鍛えあげるということは考えられるが、世界的にもまれな金融貯蓄残高を抱えた日本の貨幣が海外に流出する可能性は否定できない。さらに、日本の金融機関のうちどこがどれだけ残存できるかという可能性も未知数だ。
 国際金融の変化のスピードはあきらかに日本国内の改革よりも速い。変化に強い日本か変化を恐れる日本か。その選択が現在せまられていることを実感させてくれるお買い得の名著だろう。

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