2007年12月12日水曜日

知識国家論序説

著者名;野中郁次郎  発行年(西暦) ;2003  出版社;東洋経済新報社
 知識の集積やナレッジマネジメントなどの手法はこの野中郁次郎氏が最先端の研究で生み出したもので、もともとは日本発の経営手法だ。それを国家行政に活用しようとした意欲作がこの本で認知科学などの他分野の研究もとりいれた興味深いレポートとなっている。
 知識の共同化により個人のもつ暗黙知を共有する。
 共有された暗黙知を明示的に表出する(表出化)
 表出された形式知を既存の知識とつなぎあわせたりする(連結化)
 連結化された形式知を暗黙知として自分にとりこむ(内面化)
 このプロセスはヤクルトの野球に似ている。監督の実際の経験がまずあるが、それをチームの選手に伝える。さらにはそれを「野村の考え」などとしてチーム全体で共有する。そして他のコーチや選手の考えともあわせて連結化し、個々の選手は練習というシミュレーションによってそれを自分にとりこんでいくわけだ。
 こうした一種のプロセスを着実にこなしていくのにはパソコンはすごく有用だが、国家レベルの話になると非常にクラスターが多様で難しい。ただ意欲作であることは間違いなく、読んで得することはあっても存することはない。デゥーイのプラグマティズムやウェーバーの価値自由などといった研究入門レベルの教示もしてくれている。結論ありき、ではないところが偉大な科学者の真髄をみる思いがする。

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