著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2004年(文庫版) 本体価格:400円
最近の書店では文庫本でも「売れない」となると1ヶ月ほどで棚が入れ替わる。海外からかなり苦労して翻訳されたと思しき大作であってもあまり固定読者がつかない本だとこれもすぐ返品らしい。この「ローマ人の物語」は1994年ごろから単行本で発刊され、その後文庫化されたシリーズだが、驚くべきことに近くの書店にはすべての巻がほとんど揃っている。つまり単行本の読者以外にさらに文庫化で新しい読者がついているということになる。どこにでもある、ということでどこでも買える。したがって同じシリーズではあるがすでに異なる3つの書店で気が向いたときにこの「ローマ人の物語」シリーズを買い求めて読んでいる。
そして時代は天才カエサルの時代からオクタヴィアヌスの時代へと移る。共和制政治の形をとりつつ帝政へ移行。カエサルとは異なる視点でのガリア地区の再編成、司法権も皇帝に集中させ、皇帝財務官制度を導入して税制度を確立させる。軍事費や道路工事などのインフラ整備、カエサルが途中で暗殺されていたため中断していた通貨制度の改革、そして選挙改革。天才カエサルがまず作り上げた土台の上に「国家」という家の骨組みを着実に積み上げていく様子がこの上巻ではつづられる。
かなりいろいろな分野の書籍を読みますが、まずはビジネス関連書籍を中心に…なお個人的な☆印ですのであまり御参考にはなさらず…自分の好きな本を読んで好きなように活用していただく一助になればと思います。現在合計で2143冊の書籍についてアップロードしています_¢(0-0ヘ)。そろそろ「タグ」をまめにつけて整理していこうかな、と考えています。順不同ですがそのうちに分類基準を決めていきます【^_^】 「濫読」ではあるのですが、定期的に 1.民法・会社法 2.財務会計 3.近代経済学 4.流通・マーケティング 5.世界史関係 の書籍は読むようにしています。
2010年11月30日火曜日
2010年11月28日日曜日
ユリウス・カエサル スビコン以後 下巻(新潮社)
著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2004年(文庫版) 本体価格:483円(文庫版)
カエサルが暗殺される3月15日の描写と分析が主体となる。マルクス・ブルータス、カシウス・ロンジヌス、ガイウス・トレボニスそしてデキムス・ブルータスといったカエサルに重用されていた人物らによって暗殺が行われる。「人間ならば誰にでもすべてがみえるわけではない。多くの人は自分が見たいと欲する現実しか見ていない」というカエサルの言葉のごとく暗殺は単にローマ帝国の変化を10数年遅らせるにすぎなかったと分析される。この段階で元老院主体の寡頭制の「共和制」に戻るか、独裁官中心の帝国運営に進むのかといった選択肢がないわけではなかった。が、カエサルなきあとは、オクタヴィアヌスによる巧妙な帝国運営まで時間が空白となる。過渡的にオクタヴィアヌス、アントニウス、レピドゥスの第二次三頭政治をへてクレオパトラを代表都市アントニウスを軍司令官とするエジプト王国とローマ帝国の戦いはあったが…。時代はその後軍事を担当するアグリッパ、文化・外交面を担当するマエケナスを従えたアクタヴィアヌスを中心に展開していくことになる。
カエサルが暗殺される3月15日の描写と分析が主体となる。マルクス・ブルータス、カシウス・ロンジヌス、ガイウス・トレボニスそしてデキムス・ブルータスといったカエサルに重用されていた人物らによって暗殺が行われる。「人間ならば誰にでもすべてがみえるわけではない。多くの人は自分が見たいと欲する現実しか見ていない」というカエサルの言葉のごとく暗殺は単にローマ帝国の変化を10数年遅らせるにすぎなかったと分析される。この段階で元老院主体の寡頭制の「共和制」に戻るか、独裁官中心の帝国運営に進むのかといった選択肢がないわけではなかった。が、カエサルなきあとは、オクタヴィアヌスによる巧妙な帝国運営まで時間が空白となる。過渡的にオクタヴィアヌス、アントニウス、レピドゥスの第二次三頭政治をへてクレオパトラを代表都市アントニウスを軍司令官とするエジプト王国とローマ帝国の戦いはあったが…。時代はその後軍事を担当するアグリッパ、文化・外交面を担当するマエケナスを従えたアクタヴィアヌスを中心に展開していくことになる。
ユリウス・カエサル ルビコン以後 中巻(新潮社)
著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2006年(文庫版) 本体価格:400円
多民族・多言語・多宗教の「帝国」を作り上げたカエサル。ポリスを超えたコスモポリスをさらに作り上げていこうとする。ポントス王国との戦いでは「来た、見た、勝った」の名言を残す。留守のローマをアントニウスが内政担当するが、ベテラン兵士のコントロールに失敗。軍人としては有能だったアントニウスだが政治面での不安要素を残す。最後のポンペイウス派が北アフリカに渡ったのを追撃。スキピオ、小カトーなどのローマ人軍団とヌミディア王国との連合軍との戦いが始まる。勝利をおさめたカエサルはサルディーニャ島とコルシカ島を視察してから、凱旋式へ、そして暦の改訂(太陰暦から太陽暦へ)、国立造幣所の創設、シチリアへの選挙権を持たないラテン市民権の授与、ガリア人などを元老院議員として認め元老院の定数増加、利子率のコントロール、解放奴隷の登用、福祉政策、失業政策、首都再開発といった内政面でのインフラを進めていく。「寛容」をテーマにした一連の施策は、終身独裁官への就任によりほぼ地盤は固まりつつあった。
多民族・多言語・多宗教の「帝国」を作り上げたカエサル。ポリスを超えたコスモポリスをさらに作り上げていこうとする。ポントス王国との戦いでは「来た、見た、勝った」の名言を残す。留守のローマをアントニウスが内政担当するが、ベテラン兵士のコントロールに失敗。軍人としては有能だったアントニウスだが政治面での不安要素を残す。最後のポンペイウス派が北アフリカに渡ったのを追撃。スキピオ、小カトーなどのローマ人軍団とヌミディア王国との連合軍との戦いが始まる。勝利をおさめたカエサルはサルディーニャ島とコルシカ島を視察してから、凱旋式へ、そして暦の改訂(太陰暦から太陽暦へ)、国立造幣所の創設、シチリアへの選挙権を持たないラテン市民権の授与、ガリア人などを元老院議員として認め元老院の定数増加、利子率のコントロール、解放奴隷の登用、福祉政策、失業政策、首都再開発といった内政面でのインフラを進めていく。「寛容」をテーマにした一連の施策は、終身独裁官への就任によりほぼ地盤は固まりつつあった。
2010年11月27日土曜日
ユリウス・カエサル ルビコン以後 上巻(第11巻)(新潮社)
著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2004年(文庫版) 本体価格:476円(文庫版)
ルビコンをわたったカエサルは、リミニへ無血入城する。戦闘の準備ができていなかったポンペイウスはローマから脱出。地中海沿岸を勢力下におさめていたポンペイウスとしては、ローマでカエサルと戦うよりも、クリエンテス(後援者)の支持が得られる国外で軍団を整備するほうが有利な展開だった。まずスペインでポンペイウスの軍団とカエサルは戦い(スペイン戦役)、現在のフランスマルセーユを陥落、北アフリカ戦線で部下のクリオが大敗したものの、戦場はギリシアへと移る。ファルサルスの決戦でポンペイウスの騎兵部隊をおさえこみ、ポンペイウスはエジプトへ敗走する。さらにそれを追撃したカエサルはポンペイウスのエジプトによる殺害を知ると同時に、クレオパトラで出会い、アレクサンドル戦役をへてエジプト王国の内紛を平定する。
ルビコンをわたったカエサルは、リミニへ無血入城する。戦闘の準備ができていなかったポンペイウスはローマから脱出。地中海沿岸を勢力下におさめていたポンペイウスとしては、ローマでカエサルと戦うよりも、クリエンテス(後援者)の支持が得られる国外で軍団を整備するほうが有利な展開だった。まずスペインでポンペイウスの軍団とカエサルは戦い(スペイン戦役)、現在のフランスマルセーユを陥落、北アフリカ戦線で部下のクリオが大敗したものの、戦場はギリシアへと移る。ファルサルスの決戦でポンペイウスの騎兵部隊をおさえこみ、ポンペイウスはエジプトへ敗走する。さらにそれを追撃したカエサルはポンペイウスのエジプトによる殺害を知ると同時に、クレオパトラで出会い、アレクサンドル戦役をへてエジプト王国の内紛を平定する。
ユリウス・カエサル ルビコン以前 下巻(第10巻)(新潮社)
著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2004年(文庫版) 本体価格:438円
紀元前60年から紀元前49年(カエサル40歳~50歳)の10年を描写する。この本ではガリア地方を縦横無尽にかけめぐるカエサルの姿が地図とともに示される。そのさなか三頭政治を一端を担うクラッススがパルティア王国のスレナスと戦い、全滅。またガリア民族もヴェルチンジェトリックスという優秀なリーダーが統率した反乱が起きる。そしてガリア戦記の事実上のラストをかざるアレシア攻防戦が描かれる。カエサルが配備した独特の防御柵が文庫本126・127ページに示されているが、機械装置や技術、土木工事といったインフラを重視した紀元前のリーダーの先見性が示されている。いっぽう元老院重視の議員たちはポンペイウスの取り込みに成功し、アレシア攻防戦で事実上ガリアを制定したカエサルは護民官にアントニウスを送り込む…。ラストはカエサルとこれまで戦いをともにしてきた副官ラビエヌスに著者は光をあてる。「ガリア戦記」ではあまり触れられていない副将だが、カエサルの背後を常に守り続けてきたベテランの軍人だったが、ポンペイウスにつくのかカエサルにつくのか、その最終決定をこの第10巻で示す。
紀元前60年から紀元前49年(カエサル40歳~50歳)の10年を描写する。この本ではガリア地方を縦横無尽にかけめぐるカエサルの姿が地図とともに示される。そのさなか三頭政治を一端を担うクラッススがパルティア王国のスレナスと戦い、全滅。またガリア民族もヴェルチンジェトリックスという優秀なリーダーが統率した反乱が起きる。そしてガリア戦記の事実上のラストをかざるアレシア攻防戦が描かれる。カエサルが配備した独特の防御柵が文庫本126・127ページに示されているが、機械装置や技術、土木工事といったインフラを重視した紀元前のリーダーの先見性が示されている。いっぽう元老院重視の議員たちはポンペイウスの取り込みに成功し、アレシア攻防戦で事実上ガリアを制定したカエサルは護民官にアントニウスを送り込む…。ラストはカエサルとこれまで戦いをともにしてきた副官ラビエヌスに著者は光をあてる。「ガリア戦記」ではあまり触れられていない副将だが、カエサルの背後を常に守り続けてきたベテランの軍人だったが、ポンペイウスにつくのかカエサルにつくのか、その最終決定をこの第10巻で示す。
2010年11月25日木曜日
ユリウス・カエサル ルビコン以前 中巻(第9巻)(新潮社)
著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2004年(文庫版) 本体価格:476円
紀元前60年から紀元前49年までのカエサル40歳から50歳までの十年を描く。上巻では「遅咲きの花」といった感のカエサルだが、この紀元前60年ごろから、エリートだったポンペイウスを猛速度で追いかけ始める。パトロンだったクラッススとともに三頭政治体制を組み、キケロや小カトーといった元老院派と対立しつつローマの国防と元老院打破のために走り回る。ローマの公職員がいかにふるまわなければならないかを定めた法律などは600年後の「ローマ法大全」(ユスティニアス帝)にも収められた。またガリア戦記を著し、ドーバー海峡を横断してブリタニアにもわたる。ライン河を越えてゲルマン民族やゲルマン民族と組むガリア人たちと始終戦争を続け、紀元前49年は終わる。カエサルがただの借金漬けで色男ではなかった…というのは現代だからこそわかるわけだが、ただ単に戦争に強いというだけでは、ローマより遠方の地にあって軍団を率いることはかなわなかったはず。ガリアの地図が頭に入っていたに違いないと著者が断定するくだりがあるが、このリーダシップと先見の明はひょっとして若いころの「読書」にあったのではないか…とも思う。ミステリー小説よりも面白いカエサルの一生。まだこの中巻にして50歳である。
紀元前60年から紀元前49年までのカエサル40歳から50歳までの十年を描く。上巻では「遅咲きの花」といった感のカエサルだが、この紀元前60年ごろから、エリートだったポンペイウスを猛速度で追いかけ始める。パトロンだったクラッススとともに三頭政治体制を組み、キケロや小カトーといった元老院派と対立しつつローマの国防と元老院打破のために走り回る。ローマの公職員がいかにふるまわなければならないかを定めた法律などは600年後の「ローマ法大全」(ユスティニアス帝)にも収められた。またガリア戦記を著し、ドーバー海峡を横断してブリタニアにもわたる。ライン河を越えてゲルマン民族やゲルマン民族と組むガリア人たちと始終戦争を続け、紀元前49年は終わる。カエサルがただの借金漬けで色男ではなかった…というのは現代だからこそわかるわけだが、ただ単に戦争に強いというだけでは、ローマより遠方の地にあって軍団を率いることはかなわなかったはず。ガリアの地図が頭に入っていたに違いないと著者が断定するくだりがあるが、このリーダシップと先見の明はひょっとして若いころの「読書」にあったのではないか…とも思う。ミステリー小説よりも面白いカエサルの一生。まだこの中巻にして50歳である。
2010年11月24日水曜日
ユリウス・カエサル 上巻(第8巻)(新潮社)
著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2002年(文庫版) 本体価格:400円(文庫版)
話の流れは再びスッラの元老院重視の政治とマリウスの民衆重視の対立の時代にいったん戻る。カエサルの誕生から歴史を語るには、どうしてもローマ全体の歴史を一度逆戻りする必要があるからだ。スッラが独裁官に就任したときにはカエサル自身が処刑名簿に名前が記載されていたということもあるが、民衆派のマリウスも叔父にあたるためである。また著者自身がカエサルの全体像をイメージするには、生まれたときから全体をとおしてみていく必要性があることを書籍のなかで著述している。借金だらけで、しかも女たらしだったが、借金で公共事業をおこなうとともに、女性遍歴は多いものの恨まれることはなかったというカエサル。37歳にしてようやく英雄の片鱗をみせはじめるのだが、アレキサンダー大王や当時の英雄ポンペイウスなどと比較してもかなり遅咲きの英雄だ。しかも「英雄」にしては、お金や女性問題など世間的にいう「英雄」のイメージとはややかけはなれているカエサル。この人物はロードス島への留学をはじめ当時の最高水準の教育を受けていたのは間違いないが、だとしてもその後、ローマ帝国を一気にぎゅうじるほどの才能はまだこの上巻では著述されていない。指導力もカリスマ性もおそらくその後花開いたのではないかと想像するが、「いかに俗物だったか」「俗物ではあったが英雄でもあった」という二律背反の業績を歴史に残す。後にライバルとなる小カトーやキケロのデビューもこの上巻で詳細に知ることができるほか、トーガの着方や、ローマ市内の一戸建ての住居内地図なども掲載されている。
話の流れは再びスッラの元老院重視の政治とマリウスの民衆重視の対立の時代にいったん戻る。カエサルの誕生から歴史を語るには、どうしてもローマ全体の歴史を一度逆戻りする必要があるからだ。スッラが独裁官に就任したときにはカエサル自身が処刑名簿に名前が記載されていたということもあるが、民衆派のマリウスも叔父にあたるためである。また著者自身がカエサルの全体像をイメージするには、生まれたときから全体をとおしてみていく必要性があることを書籍のなかで著述している。借金だらけで、しかも女たらしだったが、借金で公共事業をおこなうとともに、女性遍歴は多いものの恨まれることはなかったというカエサル。37歳にしてようやく英雄の片鱗をみせはじめるのだが、アレキサンダー大王や当時の英雄ポンペイウスなどと比較してもかなり遅咲きの英雄だ。しかも「英雄」にしては、お金や女性問題など世間的にいう「英雄」のイメージとはややかけはなれているカエサル。この人物はロードス島への留学をはじめ当時の最高水準の教育を受けていたのは間違いないが、だとしてもその後、ローマ帝国を一気にぎゅうじるほどの才能はまだこの上巻では著述されていない。指導力もカリスマ性もおそらくその後花開いたのではないかと想像するが、「いかに俗物だったか」「俗物ではあったが英雄でもあった」という二律背反の業績を歴史に残す。後にライバルとなる小カトーやキケロのデビューもこの上巻で詳細に知ることができるほか、トーガの着方や、ローマ市内の一戸建ての住居内地図なども掲載されている。
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