2008年1月28日月曜日

手帳とノート魔法の活用術

著者名;和田茂夫 出版社;技術評論社 出版年;2006年
 いろいろな人が薦めている本なので読んでみたが、なるほどと思った。自分なりの「仕組み」を作ることが大事で特定の人のノウハウを直接「移植」することについては懐疑的なスタンスで書かれているのがいい。上手に手帳を使うと、自分経営にもなるというコメントにもなるほどと思う。個人の好みを優先させつつ「いかに視覚的にわかりやすく情報を整理するか」という一連の流れが「あれでもない、これでもない」といった手帳めぐりをせずにすむということになる。ある意味では「殴り書き」のメモであってもいかにそれを「整理」していくべきか…という自分なりの「仕組み化」につながるわけで、さすが理系向けの書籍を多数出している技術評論社ならではの「手帳論」「メモ論」というべきか。

2008年1月27日日曜日

プロフェッショナル仕事の流儀

著者名;茂木健一郎&NHK「プロフェッショナル」製作班 出版社;NHK出版 出版年;2007年
 盲導犬訓練士、バレリーナ、半導体メーカー、競馬調教師、デザイナーの各職業のプロフェッショナルが仕事を通じて得た「感覚」について主に語る。こうした職業での「感覚」をいかにひきだしていくのか。茂木健一郎が見事な質問技法をみせる。「目と目があうコミュニケーション」以外に馬とはそれ以外のコミュニケーションも必要な雰囲気をただよわす「勝負は厳しい」というようなコメントが、読んでいる読者にはさらに厳しい。やる気がない場合にはやる気がない原因(目標が定まらない、悩み事がある…)といった根本的なところを解決しなくてはならないが、そうしたやる気についてはプロの方々はそれぞれ独自にやり方があるようだ。「気持ちをデザインする」というデザイナーさんの言葉が重い。自分ははたして使い勝手のいい「商品」を製造してきただろうか、どうだろうか。読者にも課題を投げかけるNHK出版の名作インタビュー集だ。昨年末12月20日に出版。

「超」WORK HACKS!

著者名;小山龍介 出版社;アスコム 出版年;2007年
 この本でもフレームワークの提示が重視されているが、それよりも「自己実現などより公共の福祉など」より高次な観点で仕事を見つめなおすというアドバイスが非常に面白い。確かに社会的にはだれも他人の自己実現などには興味がないわけだし。ライフハックで重要なのは「謙虚さ」という言葉も重い。確かにある分野に足を踏み入れると、さらにその奥にいる専門家の努力の凄さを知り、さらに謙虚にならざるをえない…ということはよくあることだし。「理解する前に記憶する」という方法も確かに有効だと再確認(いったん記憶した知識と知識の関連付けをどうするのか、が勉強の一つのポイントだと思う)。

裁判官の爆笑お言葉集

著者名:長嶺超輝 出版社;幻冬舎 出版年;2007年
 元司法試験受験生の著者が、ライターとして裁判所を訪れて、裁判官の言葉の中からえりすぐりのものをタイトルに。さらにその裁判官の発言の裏事情などをテキストにまとめた新書。発言だけみるとエキセントリックにみえた裁判官の発言だが事件の裏事情や弁護人の訴訟の方式などいろいろな諸事情があって、「発言」に至ったことがわかる。21年間逃亡した後に出頭してきた男への判決など、いろいろな被告の人生もかいまみえて奥深い。芸能人や野球選手など有名人が関係した事件の判決については「第3章」でさらに別立て特集もされている。

2008年1月25日金曜日

会計基礎論(第3版)

執筆者;渡辺泉、小谷融ほか 出版社;森山書店 出版年度;2007年
 非常に多様というか、会計の歴史からグリーンアカウンティングまで幅広く題材を取り上げている。個人的には会計の歴史のくだりが興味深かった。ルカ・パチオリのエピソードについてはよく聞くが、考えてみれば「なぜイタリアで複式簿記だったのか」ということについては考えていなかった。しかし、現金収支の単式簿記だけではだめだった理由の一つに債権債務のやりとりという信用取引の拡大。そして13世紀のイタリアが当時北ドイツのハンザ同盟や南ドイツの商業大都市ニュルンベルグやアウグスブルグをおしのけて信用取引を拡大させた理由を①まずイタリアが東洋と西洋の接点として地中海沿岸のあの地域に位置していたこと②1096年から1270年まで十字軍の遠征があり、北イタリアのジェノバ、ミラノ、フィレンツェなどが食料や武器、資金の提供基地として機能したことなどが説明されている。もちろんそれに付随した決済機能も備えてなければいけないであろうから、信用取引の拡大や為替手形の普及により銀行を中心とした商業の繁栄を北イタリアは迎えることになる。これがそもそもルカ・パチオリが「ズンマ」を執筆する下地となる「商業実務」を構築させた…という流れだ。物々交換や現金決済では確かに複式簿記はさほど必要性がない。債権・債務という信用取引と文書記録の必要性、財産保全の必要性などがあって初めて複式簿記のうまれてくる「必要性」があったと考えられる。さらにこの本ではフィレンツェの「期間組合」という企業形態を紹介。この「期間組合」が複式簿記を生成させ、19世紀イギリスの複式簿記に成長しつながっていくという説明が非常に面白い(37ページ~38ページ)。さらにこれまで不勉強だったが日本の会計学研究に大きな影響を与えたというヘンリー・ランド・ハットフィールドの「近代会計学」という書物や「代理商」のもとでの委託販売や受託販売が中心になると「正味財産の比較による財産法的損益計算はほとんど意味がなくなる」「フロー中心の損益計算」が必要になってくるという流れもまたわかりやすい。積送品販売や受託販売はいまでも複式簿記の学習領域だが、フロー計算の源流が委託販売や受託販売にあったわけだ。(フロー計算への流れにいたる前に実地棚卸によるビランチオについても紹介されている)。さらに情報管理と会計情報の有用性などを第4章(201ページから219ページ)、管理会計や国際会計基準などもカバーしている(230ページ~244ページ)。
 その一方でFASBの「資産とは過去の取引または事象の結果としてある特定の実体により取得または支配されている発生の可能性の高い将来の経済的便益」「財務方向は報告することそれ自体が究極の目的ではなく経営ぴょび経済的意思決定を行うために有用な情報を提供することを目的としている」というステートメントが適切な位置に挿入されているのも魅力。

 もっともほめっぱなしでばかりではなく残念な面もある。169ページから170ページは旧商法にもとづく著述で「営業権」という勘定科目が残存。資産負債観の説明が174ページと14ページとで微妙に重複。192~193ページでは2007年4月10日発行であるにもかかわらず2006年3月期に導入された減損会計について「導入前の著述」になっている、などの問題点はある。ただ大学やそのほか自学自習で複式簿記を学習するのには、手ごわいがかなり面白いテキストではないかと思う。「幅」が広いだけに初学者に向くかどうかは別として読んでみて非常に知的面白さにあふれた本であったことは間違いない。

2008年1月22日火曜日

知らないと怖い高血圧

著者名;藤田敏郎 出版社;平凡社 出版年度;2007年
 「生活の質」をいかに維持しながら高齢社会を生きるべきか、という視点からメタボリックシンドロームに始まり、血圧管理の重要性を説く。東京大学医学部教授の本だけあって数値データや症例がかなり細かく紹介されている。早期発見、早期治療の前に「生活の改善」を重視する姿勢に好感がもてる。望ましい食生活についても細かく書籍の後ろのほうで紹介。ナトリウム以外に最近個人的に注目しているカリウムについても、「細胞の働きを正常にしてくれる」と紹介。カリウムを多く含んでいる食材も掲載されている。そのほか血管拡張機能をもつマグネシウムやカルシウム、有酸素運動のしかたなど具体例がもりだくさん。新書サイズでここまで詳細に解説してくれているのはありがたい。

世界性生活大全

著者名;桐生操 出版社;文藝春秋 出版年度;2007年
 単行本を文庫化したものだが、よくもまあ、ここまであれこれエッセイ風に面白くまとめてくれたものだ…と思う。エロスの章、結婚の章、ファッションの章、トイレの章と4つの章に区分され、人工ペニスやハイヒール、コルセットなどの「物理的道具」に関するエピソードや性病や純潔協定などの文化史、結婚にまつわる「不能裁判」など世界史の中から「性生活」に関するエピソード(とシモネタ)をうまく読み物風にまとめてくれている。ローマ・ギリシア時代から19世紀まで、読み通していると、人間ってあまり時代に左右されないで、いろいろ「生活の知恵」を働かせているなあなどと感慨にふける思いも…。ただこうしたエピソードは2000年以上も人類が生活している中でえりすぐりのものばかりだから、逆に考えると大方の「普通の人々」ってエピソードにもならないことの蓄積だったようにも思える…。本体価格571円。文藝春秋らしからぬカストリ雑誌風の「表紙」もまたなかなかいい。