著者:武田邦彦 出版社:幻冬舎 発行年:2008年評価:☆☆☆☆
石油を本当に大事に使うためにはどうすればよいか,といった視点から,たとえばレジ袋は石油を精製するさいにこれまで燃やされていた部分を有効活用していたいわば廃棄物を利用したものなのでむしろ積極的に利用すべきことなどを説く。実際に容器包装リサイクル法が改正されて以後,レジ袋の削減に取り組む小売商が増加したが,それは法律でレジ袋などの削減措置について国に報告する義務が一部の小売商にでてきたためだ。もしレジ袋が使われなくなれば,それはまた燃やすこととなり,環境問題の本来の趣旨から逸脱してしまう。バイオエタノールについても筆者は強い疑問を呈しており,トウモロコシなどがもし石油などの代替エネルギーになれば,食糧としても販売できるし,エネルギー源としても販売できるという一種の売り上げ安定効果が出てくる。バイオエタノールを推奨したのはブッシュ大統領。石油関連企業との関係の深さが指摘されている大統領だが,その人物が推進者ということであるとやはりバイオエタノールについてもシンプルに環境にいいとは断言するわけには行くまい。紙のリサイクルなど他の諸問題についても著者はとりあげているが,「環境にいい」というのはつきつめていくとどういうことが「いい」のか,という根源的な問題に立ち向かうことになる。けっしてエコロジーや環境問題を軽視しているわけではなく,本当にバランスのとれた環境問題対策はいかにあるべきかをわかりやすく解説してくれた本と言えるだろう。わかりやすさと筆者自身がまだ結論がでていないことについては率直にその旨が記されているので非常に良心的な書籍だ。





