2008年2月25日月曜日

効率が10倍アップする新・知的生産法~自分をグーグル化する方法~(ダイヤモンド社)

著者名;勝間和代 出版社;ダイヤモンド社 発行年;2007年
 いわゆるノウハウ本やビジネス本はあっても現在トップクラスの売上を更新しているベストセラー。私は第1刷の段階で購入したけれど、もうおそらく10刷ぐらいはいっているのかもしれない。情報発信のノウハウということで著者自身が購入して活用している健康関係のグッズやデジタル商品などの一覧、そしてお勧め書籍の一覧など、一冊でいろいろな商品や書籍についても使い勝手そのほかの情報を得ることができる。ただのノウハウ本と違うのはそのデジタル商品の「使い方」も含めたカタログ的な部分もあるのだろうと思う。お勧めサイトや読書法なども箇条書きにしてあり、いわば知的活用方法についての著者独自の「フレームワーク」が一冊にまとめられている。となると定価1,500円は相当に安いもので、店頭で立ち読みするよりも一気に購入してしまったほうがいろいろな意味で活用可能。立ち読みですんじゃう本とは比べ物にならないほど売れたのは、立ち読みでは済ませられない情報量が満載されている点にもあるのだろう。数値化して考える癖など仕事だけでなくほかの分野にも応用可能な情報満載。当面しばらくはこのブームは続くと考えたほうがよさそうだ。

マリ=アントワネット2(みすず書房)


著者名;A.カストロ 村上光彦訳 出版社;みすず書房 出版年;1972年
 首飾り事件の後から、1789年の三部会招集、ヴァレンヌ逃亡、マリ=アントワネットの処刑までを描く。ただし文書文献に基づいた構成というだけあって、マリ=アントワネットの死刑宣告にいたるまでのくだりは証拠物件その他の不足なども指摘されるほか、マリ=アントワネットの主張も文献で確認されるかぎり収録されており、やはり死刑というのはこの時代の雰囲気に相当左右された結果ともいえそうだ。ただしこの検事、裁判長、裁判の判事6名のうち3名を除いて後にギロチン。証人のうち14名がギロチン、12名の陪審員のうち動乱後ひっそりと暮らせたものは「3名しかいない」。という歴史の大動乱期を感じさせる結果だ。共和政治を訴える人々の群れは、やはり相当無法状態の混乱の中で「けっこうめちゃめちゃなこと」をやっていたことが文書からもうかがえる。マリ=アントワネットの遺体についても詳細な検討が加えられているのだが相当無残な扱いで、フランス革命とはいっても「実態」がどうだったのか…を考えると素直には喜べない一面も。裁判については特に筆者の「第三者ぶり」の筆が冴え渡る。1972年発行。533ページのノンブルで第2巻終了。源泉資料として巻末に各種事件についての簡略なコメントと文献の所在地が掲載されている。

マリ=アントワネット1(みすず書房)

著者名;A.カストロ 村上光彦訳 出版社;みすず書房 発行年;1972年
 2部作の前半部分。ルイ16世と結婚し、4年後にルイ15世崩御のあとに王妃となってからの享楽的な生活を地味に文書から掘り起こして描写していく。18世紀の時代の雰囲気をどちらかといえばリアルタイムに描写していこうという筆者の意気込みは、膨大な文献作業から掘り起こした文書に裏打ちされている。いろいろ取りざたされているスウェーデン陸軍のフェルゼンとの関係についても「自制する恋人たち」という結論を導き出している。第1巻は有名な「首飾り事件」で幕を閉じる。是か否か、という価値観は今となっては第1巻をみるかぎり、マリ・アントワネットには当時の貴族として守るべきものを守っていなかった…というのはあるだろう。マリア・テレジアの書簡の引用に宮廷での謁見がどうして必要なのかが述べられているが、オーストリア帝国を率いたリーダーにふさわしい細心の注意が述べられている。そしてルイ15世からの治世の「歪み」もまたこの本から浮かび上がってくる。カペー王朝の崩壊については、マリ・アントワネットの放蕩などは「最後の一押し」に過ぎないのかもしれない。1972年発行の本だが、今でも販売されているのかどうか。こういう名著がまた書店にたくさん並ぶ時代になっていてほしいものだが…。古書店で入手。定価2060円。278ページ。

2008年2月24日日曜日

頭がいい人、悪い人の話し方(PHP新書)

著者名;樋口裕一 出版社;PHP新書 発行年;2004年
 この「頭がいい人、悪い人」シリーズはむちゃくちゃ売れているみたいだが、私も含めてだが、「自分の頭は悪くない」ということを前提にして読まれているのではないかと思う。ひねくって「自分は頭が悪いからこの本を読んでよくしよう」という発想…ができる人であれば、まあ、そういう意味ではすでに「頭がいい」わけだし。タイトルがやはり秀逸だったんだろうなあ。ま、「欽ドコ」にも「いい人・悪い人・普通の人」というのはあったことはあったが…。まあ大方は世間の相場どおりのタイプが羅列されているわけだが、それでもよんでいると、「あ、これ、自分だ…」と思うところも。「ケチばかりつける」、ン、そういうところあるなあ。「矛盾に気がつかない」、あるある。「低レベルの解釈をする」…あ…映画なんかそうだろうなあ。アンジェイ・ワイダ監督とかオリバー・ストーン監督とか「社会派」ってよばれる人たちの映画みてもぜんぜんわからないし…。あ、でもねえ…。結局、莫迦なのかどうなのかは最終的にはトータルにみて自分ではなく他人が決めるもの、っていうのも世間的常識かもしれない。「おれ、莫迦なんだぜ」といっている人がいても実際に深層心理ではとんでもないナルシストだったりするリスクもあり、自己評価は最終評価とはけっしてならず。「莫迦か莫迦でないか」は自分がいないところで、3人以上の人間が集まって、アルコールでも入って、いい感じの雰囲気で話せる雰囲気の場所と空間で決定されるように思う。だからまあ、話し方というのも一つの分類方法ではあるけれど、最終的には身内以外の第三者に決めてもらうしかないだろうなあ…。

 

年収崩壊(角川出版)

著者名;森永卓郎 出版社;角川出版 出版年;2007年
 今年に入ってさらに増刷。小泉内閣時代から「格差社会」の可能性を予測し、年収300万円時代が到来すると書籍で「予言」実際にはそれ以上の「格差社会になった」という話からこの本が始まる。統計データが実際に今の実態を反映するのはもしかすると数年後ということになるかもしれないが、好景気といわれても実感のないここ数年。ネット難民などといわれる方々も出現してきたが、必ずしもそれはライフスタイルの問題で、経済の問題ではないのではないか…とも実は思っていた(少なくとも定住や安定を拒みたい人も少なからずいるはずだ…)。ただこの本ではさらにつっこんで「自分の居場所がなくなるリスク」と「長生きのリスク」を指摘。今の平均寿命がさらに延びて、人口減少率がさらに増すというのはかなりの可能性で起こりうることだ。さらに2005年の国勢調査をもとに「非婚率」の高さも著者は指摘。男性の多くは「結婚しないではなく結婚できないのだ」と評論。さらには、「結婚で長期的な安定は得られないと悟った女性は、短期的であってもイケメンや金持ちに享楽的な利益を求めるようになった」(34ページ)がしかし「世の男性のほとんどはイケメンでもお金持ちでもありません」(同ページ)と厳しい評論。そのあと年金問題、特にマクロ経済スライド調整の話に移行するわけだが、冒頭の「長生きリスク」がこの年金問題とリンクして、資産運用の話へ…。年収が本当に崩壊するのかどうか。あるいは日本的経営が本当に終わっているのかどうか(定年雇用制も含めて)。まだまだ時間をかけなければ不明な点はある。ただし非婚率の数値は、突然に上昇するものでもなく下落するものでもおそらくない。ばたばたと突然、非婚率が下落するとしたら、それは何かの突然的な現象で、常識的に考えれば10年後、50代、60代の独身家庭が多数社会に生まれてくるということは考えられる。そのときの年金を含めた年収は…というと、やはり社会保障以外の何かを用意しておかないと不安な時代になるのだろう。あまり明るい話は含まれていないが、それでも森永氏の予測がさらにあたる可能性もある以上、やはり新書サイズでさっくり読んで10年後の自分を考えてみるのも悪くはない。

世界悪女大全

著者名;桐生操 出版社;文藝春秋社 発行年;2006年
 コリン・ウィルソン風の「大全」を思い浮かべていたのだが、実際にはエリザベス1世やエカテリーナ・メディチ、マリア・テレジアなどまで「悪女大全」に含まれており、もう少し有名度は落としても、別の名前を特集して欲しかったもの。ルイ15世とバリュ婦人(ジャンヌ・ベキュ)、さらにマリ・アントワネットの相克を思い出してみると「公的な愛人」というのは確かに一人。この本の190ページにはルイ14世とモンテスパン公爵夫人のエピソードが紹介されているが、フランスの宮廷生活では「公式の愛人を一人持つことが許されていた」のだそうな。中国や日本の大奥などと比較するとえらい違いだが…。ただしその次のコラムではルイ15世のためにポンパドゥール夫人が「鹿の苑」という一種のハーレムを作ったエピソードが紹介されており、「非公式的」にはやはりいろいろあった…ということか。他のページでもリシュリュー派が担ぎ出したジャンヌ・ベキュなどのエピソードが紹介されており、ちょっとこのルイ14世、ルイ15世ともに「大国」の宰相にふさわしいエピソード満載。ちょっと面白いのが英国での「高級娼婦」とされているクリスティン・キーラー。「スキャンダル」という映画のモデルになった人、そしてヒトラーとの「近親相姦的関係」として紹介されているゲリ・ラウバル。写真などもさすがに天下の文藝春秋だけあって文庫本なのに豊富。あとは索引などがもう少し充実してたらと思う。357ページ。本体価格619円。

スピリチュアルにハマる人、ハマらない人

著者名;香山リカ 出版社;幻冬舎 出版年度;2006年
 「スピリチュアル」ももうブームが過ぎたといわれてからこの本を読む。きっかけはやはりあの有名スピリチュアル・カウンセラーE氏の「生きている人を霊視してしまった事件」から。80年代や90年代前半の心霊や祟りはかなり怪しい雰囲気が逆に「売り」だったがさすが21世紀。守護霊や前世などは日常用語としてかなりフランクな雰囲気で語られる舞台装置になっている。人間だれしも不可思議な体験をしたことはあるし、自分でもそういうことはないでもないが、しかしそれはあくまで個人の問題であって、それを他人に何か語ろうとか教えようとか、逆に他人から諭されよう…などとは大半の人間は思わないはずなのだが、ついこの間までそれがブームだったとは…。この本によれば「お金儲け」と「スピリチュアル」現象はリンクしており、「お金儲け」を肯定することでよりブームが加熱した面があるとか。確かに「お金儲けをすると業が深まる」とかかかれたりすると職業を持っている人には受け入れられないわけで。「だましてほしいわけではないがとにかく気分を明るくして」という時代の要請を香山リカ氏は指摘する。確かに明るい雰囲気になればポジティブな発想もわいてくるが、実際のところ、暗くて逃げ出したくてたまらない場面をいくつもいくつも見なくては成長することもできないわけで…。ま、私は「ハマらない人」に属するのだろう…。